瀬戸際シャープ・奥田隆司社長を直撃 鴻海との提携、資金繰りは大丈夫か

拡大
縮小

液晶パネル事業はもともと限界利益が高い事業ですので、操業さえ上がればものすごく利益が出る事業体になる。

営業利益が2012年度でマイナス1000億円。ゼロにしようと思うなら、1000億円の固定費削減をしなくてはならない。

--営業黒字のメドは。

シャープは2012年度下期に営業利益黒字化、2013年度に当期利益黒字化という目標を掲げて、今、下期に向かった事業計画を組んでいる最中だ。

2011年度、2012年度と売上高が大きく計画から下回って、そのぶんが営業利益を下押ししている。何がそういう悪さをしているのかというと、液晶テレビ、特に国内と中国。もう1つが携帯電話。一部、ソーラーの赤字はあるが小さい。その次に大きなのは液晶だ。

AV、テレビについては、なぜそんなに赤字なったかというと、2011年の突っ込みすぎの流通在庫の消化のために資金を要した。携帯電話については計画していた通りのチップ(中核部品のLSI)の確保ができなかった。

流通在庫は消化が進むと同時に、需要予測に向き合った生産で、マーケットへの商品を投入すれば、在庫問題は収まってくる。中国でも同じような取り組みしていますから、よくなると思う。

携帯も、前半は手配が予想通りいかなかったが、後半はチップベンダーさんとの交渉が進み、ほぼ計画に近いところまで手配はできた。あとは商品力を強化しながらマーケット競争でポジショニングをとれるかにフォーカスしている。これもよくなっていくだろう。

液晶は、堺がすごく……減価償却が1000億円くらいあったのが、ラインが埋まらずに赤字を出していた。が、鴻海との協業のなかで7~9月で80%くらいまで操業度が上がってきた。10月以降もそこそこの操業が継続されており、赤字は縮小する。しかも、本体から切り出しますからインパクトが減る。

そうすると、残っているのは中小型液晶だ。いまデザイン・インということで売り上げの拡大に向けて営業活動をしている。それでもマーケットは生き物なので下振れリスクはある。それを銀行さんからご紹介いただいたコンサルティング会社と一緒になりながら、確かな計画を作るために、お互いに情報連携・交換しあいながら精度を高めていく。

大型液晶市場は拡大する

--堺の大型液晶については、足元稼働率80%程度で、半分は鴻海が引き取っているのか。

半分じゃない。2013年度から半分の計画で、今は圧倒的にシャープが多いですね。

--鴻海はビジオ社向けに60インチ型テレビを出荷している。そのビジオに堺で生産したパネルを安値で販売している。今年の年末商戦で、アクオスの競争力に影響しないか。

北米の販売チャネルはABCDと4種類くらいある。AはAV専門店。Bがベストバイトのような量販店。Cがホールセラー、Dがディスカウンターだ。鴻海のお客さんはA・Bがない。Dは一部あるが、ウォルマートとかターゲットをメインに販売されている。シャープが強いのはAとBと、D。

--販売チャネルがかぶらないから大丈夫ということか。

そういうことです。

 

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