瀬戸際シャープ・奥田隆司社長を直撃 鴻海との提携、資金繰りは大丈夫か

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--大型テレビ市場も拡大するとみている。

拡大するんじゃないでしょうかね。

--堺工場を拡大するという話が出たようだが、需給からみてその必要性はあるか。

生産ありきではなくマーケットありきで考えた結果、倍になればいい。堺は生産能力を2倍にできるだけの敷地も能力もありますから、マーケットが成長すれば、それに対応していけばいい。もちろん、マーケットを倍にする努力は必要ですね。60インチ以上だけではなく55インチまで含めれば2倍になるんちゃいますか。

--2倍になる時期は。

それはもうちょっと難しいですね。3年くらいかかるんちゃいます?

--中小型液晶について。亀山第二の操業が3割程度に落ちている。受注先の生産調整を受けてのことだが、タブレット、ゲーム機以外で主だった受注ができていない。下期、来期にかけてこの状況は改善していくのか。

2013年はウルトラノートPC(パソコン)が高精細化に移る大きな転換期になるとみている。2013年上期くらいから爆発的にそういうトレンドに変わっていく。それに関連して、われわれがそういうメーカーにデザイン活動している。

 普通のモニターもそうだと思うが、オールインワンノートのモニターも高精細化していく。モニターを高精細化するときに重要なのは電池が長くもつこと。そうなると、シャープのIGZO(酸化物半導体)液晶が大きな起爆剤になる、

--アイパッドの次モデルもIGZO化するとみているのか。

ノートPCなどで2013年の上期から需要は拡大すると考えている。

--結果的に中小型液晶でのアップル依存度は下がるのか。

そっちはそっちで、こっちはこっちで上がっていく。

液晶への巨額投資は間違いではなかったが…

--今振り返って、堺工場への4200億円の投資判断は適切だったのか。

あの時の判断としては正しかった。「これから液晶テレビ事業を大きくしていく」という考え方は基本的に正しかった。液晶の用途を拡大する……それまでは、家庭内の液晶テレビは55インチ以下の小さいものだったが、60、70、80、90インチの大型を展開する、さらにはB2Bの世界に拡大する……量は出ていませんが電子黒板や、デジタルサイネージ……に拡大するというコンセプトは間違っていなかった。

ただ、当時は1ドル115円で、今の78円とかいう為替の流れは誰にも読めなかった。為替のせいにするわけではないが、結果論として大変厳しい状況になってしまった。

--自社ブランドであるアクオスの販売と、パネルの外販の両立には成功してきたと思うか。

本来は、垂直統合モデル事業を展開するためには、製品のセットの商品力がたいへん強いことが前提となる。ずっと限りなく常に新しいものを生み出してシェアを高めていくというシナリオがあって、初めて垂直統合モデルのなかでシャープ向けのパネルを優先して、商品軸に展開できるベースになる。

残念ながら、アクオスが継続して勝ち続けるという形に……中国勢が出てきたりとか、ウォン安で韓国勢が強くなったりするなかで、うまくつくりあげられなかった。時間軸、タイミングのなかでそうなってしまった。

--アクオスブランドがもう少し成功すると違っていた……。

われわれは成功させたいと思っていた。

--パネルの外販戦略で反省すべき点はあるか。

さまざまなやり方はあったとと思うが、それがシャープに当てはまったかはもう一度検討しないといけない。一言ではコメントしづらい。

■リストラで職場が荒れないようケアする

--人員削減を含めての1000億円コスト削減となる。シャープは過去、本格的な人員削減をしてこなかった。今回、社員への影響は。

重要なことは、今回仮にリストラが実行されて、会社を去る人が出てこられる。会社に残られる人もいる。会社を去る人にとっても、残る人にとってもプラスになるような形にならないといけない。

 

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