「電池」で負ければ日本は終わる 新エネルギー革命の時代 岸宣仁著 ~電池を制するものが次の100年を制する

「電池」で負ければ日本は終わる 新エネルギー革命の時代 岸宣仁著 ~電池を制するものが次の100年を制する

評者 中沢孝夫 福井県立大学地域経済研究所所長

リチウムイオン電池を中心として、電気自動車の開発や、「標準化」をめぐる激烈な知的な争いの現場を、丹念な取材によって明らかにした。

著者はまずプロローグで、韓国サムスンによる、リストラを余儀なくされている日本の電機メーカーからの技術者の引き抜きに関するニュースから紹介する。そしてエピローグは「リチウムイオン電池は国内で争っている場合では」なく「一種の国防産業である」という言葉で閉じている。

企業の研究開発が「ナショナリズム」になじむかどうかは別として、本書が指摘するように日本は「DRAMメモリーや液晶パネル、携帯電話、太陽光発電など技術で先行して過半数の市場シェアを獲得しながら、国内のライバルが足を引っ張り合い」、あっというまにシェアを落とす「負けパターン」が多いことは事実である。知財戦略で協調行動がとれないからである。どうやら日本はプレーヤーが多すぎるようだ。

しかし著者は同時に「日本は汎用製品の多くでシェアを落としているが、製品を支える基幹の部品や素材(部材)は依然として強」く、韓国のリチウムイオン電池も日本からの素材の「供給がストップすれば張り子の虎も同然」という事実の指摘も忘れない。

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