アキバの道路は、どうして渋滞知らずなのか 火事や青果市場、神田祭が紡いできた歴史

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結束を強める舞台装置として、毎週日曜午後に中央通りで開かれる歩行者天国や、神田明神を中心として2年に一度開かれる神田祭がある。歩行者天国は2014年度に計37回開かれた(荒天の場合は中止)が、運営参加人数は述べ2036人。秋葉原電気街振興会などの諸団体が646人だったのに対し、千代田区、神田消防署、万世橋署の三者は975人を出した。

歩行者天国は2008年の通り魔事件で中止となり、11年に再開された。こうした経緯もあり「銀座や新宿の歩行者天国では警察側は交通規制を実施して、『あとはよろしく』だが、秋葉原では警察から11人が常駐する」(伊東氏)。さらに神田祭は日本三大祭りの1つでもあるだけに、町会や商店街が総力を挙げて盛り上げ、警察側も全面的に協力する。

大型バス対応の駐車場は皆無

ただ、2020年の東京五輪に向けては課題もある。観光客のさらなる急増が予想されるのに、大型バスを止められる駐車場がまったく無いのだ。小林氏は「2006年3月開業のUDX建設に合わせ、地下に大型バス対応の駐車場を作る話が出たが実現しなかった。観光地意識が乏しく、爆買いのような事態を想像できなかった」と説明する。

その結果、中央通りで観光客を下ろした後、他の通りでエンジンをかけながら待機するバスが目立つ羽目となった。小林氏は抜本的な対策として、秋葉原の南西端に位置する東京都住宅供給公社のビルが解体中である点に着目。その跡地を大型バスが待機する場所にしたいと考えている。

小林氏は「千代田区に予算要望したが通らなかったら、都に働きかける予定だ」と説明。「土日に秋葉原を訪れる大型バスは現在、1日当たり200台超。待機施設にトイレなどを整備して1台当たり3000円を徴収すれば、人件費くらいは賄える」とそろばんをはじく。

江戸の参道から明治の火除け地、大正の大震災を経て、昭和に入ってからは青果市場、戦後は電気街と、秋葉原はさまざまに顔を変えて時代に適応してきた。その底力を五輪の「おもてなし」でも発揮できるか、注目だ。

駅 義則 東洋経済オンライン編集部

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えき よしのり / Yoshinori Eki

1965年、山口県生まれ。1988年に時事通信社に入社し、金融や電機・通信などの業界取材を担当した。2006年、米通信社ブルームバーグ・ニュースに移ってIT関連の記者・エディターなどを務めた後、2015年9月に東洋経済オンラインのエディターに。現在の趣味は飼い主のない猫の里親探し

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