急成長IT企業のキーパーソンたちが語る、組織マネジメントの秘訣 インフィニティ・ベンチャーズ・サミット
逆に、そういう人たちが外に出ていって、いろんな新しい会社を作って、新しいサービスができるってことが、エコシステム全体がよくなることにつながるわけですよね。それでサービスが増えれば、セクターが上がってくるし。結局大きな目で見る場合は、検索だったり情報量も増えるんじゃないという考えだと思いますけどね。
真田 なるほど。わかりました。大変興味深い話でした。じゃあ、川邊さん、ヤフーのマネジメント教育。話はだいぶいろいろちょっと飛んじゃったでんすが、元の話題はマネジメント教育。
川邊 ちょっと前のヤフーはですね、マネジメント教育というのはもうOJTのみでしたね。やっぱり。ただ、それでいて先ほどのリクルートさんみたいに全部を任せるわけじゃないんで。あんまり意思決定できる人は育っていなかったんじゃないかなというのが、率直な感想です。
最近のヤフーは、まずは任せるということをやることにしました。じゃないと爆速にならないんで。全部上まで気にしていたら、全然遅いですから。
なので、まず任せるということと、あとマネージャーとメンバーの関係って、ほとんど技術としては、ティーチングと、フィードバックとコーチングのこの3つしかないと思うんですね。で、多くの場合は上司、部下の関係でティーチングをやっちゃうわけですよ。「お前こうやって仕事しろ、ああやってこう仕事しろ」って。
でもこれやったら人育たなくて、そのフィードバックとコーチングが大変重要だと思っているんで、この6月に今度、この第2クオーターから新しくマネージャーになる、何百人も入れ替えるんですけど、その新しい人たちにフィードバックとコーチングの手法を外部の講師を招いて、今研修を受けてもらってます。
ですからこれからは、フィードバックというのはこれも鏡で、あなたはこういうふうに見えていますよ、周りからっていうのだし、コーチングは自問自答を手伝う行為ですから、別に僕の意見は関係なく、「最近どう? とか、成績出てる? 出てない? 出てないとしたら、何で出てないの?」っていう、自問自答の幅を広げてあげる。
この2つを今後の新しいヤフーは、どんどんどんどん使って、メンバーを育てるし、そういう育てられるマネージャーを増やしていきたいなと。これはGyaO(ギャオ)で3年間やって、すごい成果が上がったんですよ。
やっぱりGyaOの場合はUSENから来た人と、ソフトバンクのTV Bankから来た人と、ヤフーから来た人の文化が混ざりまくっちゃって、訳わからなかったので、マネージャーの統一のスキルを持たせるためにそういうことをやったら、すごく成果が上がったんで、ヤフーのほうに持ち込んでですね。
これからは、フィードバックとコーチングができるマネージャーをちゃんと育てていきたいなというふうに思っています。
真田 なるほど。ちなみに、ちょっと気になったことで。マネージャーを入れ替えるとおっしゃいましたよね。
川邊 はい。
真田 ということは、今までマネージャーだった人が、降格するような…降格人事もヤフーではやるんですか?
川邊 そうですね。今日、宮坂が、朝9時から宮坂と僕とあと執行役全員で説明してきたんですけど、全社員に。役職は基本的に役割だというふうに定義を……キャスト、配役だというふうに定義をはっきりさせてしまって。
配役はミッションが変われば変わることがありますよと。という宣言を3月にも一回したんですけど、今日改めてして、なので爆速でフォーカスでワイルドになるための配役替えを今回行いますという宣言をしました。幸いですね、役職給はなかったんですよ。ヤフーって。だから、給与で降格というのはないですね。簡単にいうと。
真田 肩書き、組織上の役割として、マネージャーがヒラになっても給料は変わらない。
川邊 給料は変らないんですよ。だから、それで配役を変えるよということで、今日やってきたと。
真田 降格って結構、皆さんやっぱり経営者にとって1つの悩みだと思うんですけど。じゃあサイバーエージェントさんの場合は降格人事ってあります?
曽山 あるかないかで言うと、ありますね。ただし、セカンドチャンスというキーワードがあるので、2回か3回くらいまでのミスは寛容にしているんですよ。
でも、それでも繰り返している場合は、減給したりとか、ポジションをちょっと小さくしたりとかっていうことで、本人も相当自覚したうえでやっているので。事前の説明を大事にするっていうのが特に大事だと思うんですね。降格のときは。
真田 リクルートさんはいかがですか?
出木場 さっき言ったとおりに、ヤフーさんもあれかもしれないですけど、役割なので、降格というものがないですね。なので、本部長といわれるような職業、仕事をやっている人は、大体2割くらいは入れ替わると。というまあ、そういう感じなんですね。
川邊 ヤフーもまさにそういう感じに今後していきたいと。
真田 なるほどね。わかりました。さあ、それではお待たせいたしました。猪子さん、マネジメント教育。
猪子 成長してないんで、皆さんみたいに。ちょっと。参考にならないです(一同笑い)。
真田 期待してたんですけど、なんか言ってくださいよ。
川邊 なんかでも、いい……いい中間層いるじゃん、いっぱい。
猪子 本当ですか?
川邊 1回も仕事はしたことはないけど(一同笑う)。お祭りとか一緒に行くと、いい働きをしている人たちがいると思うんですが。
猪子 光栄です。
川邊 でも、本当に育てているの?
猪子 いや、わかんないですよね。どうなっているのかね。でも、そのあんまり……会社とかって、その……。
川邊 社長がこうだから、われわれがしっかりしなきゃみたいなのは(一同笑い)。あふれていますよね。あふれていますよね。チームラボの世界に。
出木場 確かにチームラボさんの取締役さんは、もう皆さん本当にすごいしっかりされていますよ。
川邊 そう、猪子はこうで変わってほしくないから、われわれがこうなんです……みたいな。
猪子 いや、そういう話じゃなくて(一同笑い)。いや、よく思うんですけど。全然よく思うこと言っていいですか?
いや、ビジネスって、なんかこう組織とかを超越して、なんか……。組織の成功、会社の成功って、組織のよさとかを超越して、時代のなんか瞬間みたいな別要素、別要因が多すぎると思うんですよ。だからあんまり参考にしなくてもいいんじゃないかなと思うんですよ。何ていうんですかね。時代のなんか…。
川邊 参考にしたときにはもう遅い。
猪子 別環境が多すぎて、たとえばヤフーが成功したのって、ヤフーのせいではなくて、単なる時代のせい。