急成長IT企業のキーパーソンたちが語る、組織マネジメントの秘訣

インフィニティ・ベンチャーズ・サミット

 

 

曽山 ただ、私たちの中には、いくら……いつまでにどれくらいの利益を作らなければいけないという、「CAJJ制度」と呼んでいる事業格付けがあるんですね。赤字からスタートしても、半年以内にたとえば、どこどこまで行きなさい、粗利額をいくらまで作りなさいというルールがあるので、そこには行かなきゃいけないというルールがあって、そこに行かないと基本的には撤退を前提に検討しようというルールがあります。なので、そこの間だったら自由にやっていいよという。

真田 たとえばじゃあ、その費用を仮に開発費用をいくら使うとか、広告宣伝費をいくら使う、あるいは何に使うとか、そういう大体どんな会社にも決済権限表みたいなものがありますよね。

係長だったらいくら、課長だったらいくら、部長だったらいくらみたいなのを普通、どのくらいの人だったらいくらまでの決済をしていいみたいな。あるいは、契約の締結は部長以上とか、なんか大体そういうのありますよね。そういう社長が年齢とか、その人の…こうなんていうんですか、グレードとか、そういうことにかかわらず、すべての権限を渡すわけですか?

曽山 そうですね。ただその役員の中に大体私たちCA8のような上場企業のサイバーエージェントの役員も1人入っていたりするんで、経営のアドバイスはできたりするのと、困ったときには悩みも相談できるっていう、大振りはすることはない感じですね。ただ決めるのは自分だという。

真田 それでうまくいかなかったときというのはどうされるんですか?

曽山 はい。結構実際、スクラップする事業も多くてですね、私たちの場合は。ただ社内では挑戦した結果の敗者には、セカンドチャンスをという、社内の社是みたいなのがありまして、もう全然失敗してもそれは財産だと。

むしろ社内ではヘッドハンティングがですね、横行するくらいの感じで、引き抜きがどんどんされているような感じなので、失敗したからクビになるとか、そういう不安を持っているメンバーはもうほぼいないと思います。

真田 なるほど、面白いですね。ちなみについでに、社内のヘッドハンティングというのはどんなもんなんですか?

曽山 その「J5」(ファイブ)と呼んでいるのが、格付けならいちばん下の新規事業グループなんですけど、ここが半年でたとえば粗利が行かないと。そうすると他の部署にうわさが回るんですよ。あの事業けっこう厳しいみたいだと。そうすると、いちばん収益が高いのが「J1」(ワン)というんですけど、J1の事業部長クラスとが結構メール送ったりとかして、「ちょっと今度ランチ行こう」と。

ランチに行くと、「今度なんかいろいろ事業大変かもしれないけど、何かあったら一緒にやろうな」みたいな。というのを言っておくと、もうなんか異動が決まっちゃっているみたいな。

以前はですね、けっこうこれモメてて、結構退職してたんですよ。撤退すると。新規事業ってこれ経営陣のためのジレンマの1つで、新規事業をやらないと辞めちゃうし、新規事業をやらせてもうまくいかないから、撤退するとまた辞めちゃうみたいな。デフレスパイラルがあるんですけど。

失敗してもその人が悪いんじゃなくて、たまたま環境が合ってないだけだから、人材は大事なんだということを改めて何回も言い続けたことで、結果的にヘッドハンティングしてもいい風土ができ、退職も減っていったという、そんな感じです。はい。

真田 なるほど、とても面白いですね。じゃあ、事業が仮にすごいうまくいった場合、その社長はその後どのようなキャリアパスになっていくんですか?

曽山 はい。いちばんわかりやすい例の1つは、サイバーエージェントの上場企業の役員になるというケースですね。8名のうちの3人は役員になっている。はい。そういうような形でどんどんチャレンジをしているということです。

真田 非常に面白いですね、これね。興味深い。リクルートさんだと、辞めて、独立して、自分の資本の会社を作ろうとする方が多いわけですよね。リクルートの子会社をやろうとするのではなくて、辞めて自分の資本なのか、誰の資本なのかはわかりませんけども、リクルートの子会社であれ、自分たちの資本で独立して会社をしようとされる方が多いですけど。

じゃあサイバーエージェントさんが目指しているのは、全部サイバーエージェントの中で、子会社社長をたくさん作っていくというそういうイメージなんですか?

曽山 はい。私たちはそこを意識していますね。外に出ていっても大活躍できるような人材がサイバーエージェントグループに残って、大きくリソースを使いまくって、外で1人でやるよりも、いち早く成功し、大きく成長できる環境を、総体的に得になるような環境を僕らは提供しようと。そうすれば残って頑張ってくれるんで。

なので、事業でひと山当たったら、ひと山当たった分だけ、処遇とか、報酬とか、裁量も返していきますし、そういうふうに実際に評価をしているわけです。

真田 たとえばですね、仮に子会社がエライ儲かる会社になりましたと。そうした場合、その社長の給料は、誰が決めるんですか?

曽山 大体、担当役員が、CA8が1人入っているんで、サイバーエージェント取締役と一緒に、その子会社の社長が相談して決めるケースが多いですけど。もう大当たりさせた事業は、藤田がもう「給料を上げな」とか、という話を言って、バコーンと上がるというケースは実際ありますね。

真田 なるほど。というお話を聞いて、リクルートさん、いかがですか? もしリクルートが元リクの方が社長でやっておられる会社というのも、多分ここの中にもその何十人かおられるわけですけど、その人たちがもし全部リクルートの連結だとしたら、リクルートの売り上げってすっごいことになっているわけじゃないですか? という妄想に駆られたり、今しませんでしたか?

出木場 まあ、すごい悩ましいところだと思うんですけども。もちろんほんとはね、辞めなくてうちでやってもらえると、というので、もちろん使えるだけリソースも使ってもらいたいというのも、もちろんあるんですけども。

本当に大きくなる会社みたいなとことが本当にそれはできるのかというところのジレンマもあるかな、というふうに思いますし。やっぱりあとは、これもなんかちょっと違っているかもしれないですけど、辞めた人がけっこうまたリクルートに入社するというケースがあってですね。

真田 出戻り。

出木場 出戻りって言ったら言い方悪いんですけど。こないだたまたまある事業をやろうとしてですね、「ちょっと新しくリストを作ってほしいんだけど、ちょっと英語がしゃべれて、こういうやつがいいんだけど」って言ったら、3人くらいですね、うちを辞めた人の名前が入っていたんですよ。

「何これ?」って言ったら、「あ、これね、辞めてね、今自分でやっているんですけど、なんかうまくいかないって、こないだ飲み屋で言っていたので、声かけたら戻ってくる可能性あります」って言って、うれしそうに人事が言っていたので。「そんなの(リスト)までお前持っているの?」って言って、本当に持っているのかどうか知らないですけど。

でもなんかそこら辺はあんまり、中とか外という意識があまりないのかもしれないですね。ただ仲間みたいな感じになっているのかもしれないですけど。

真田 徳生さんにお伺いしたいんですけど、、グーグルに限らずアメリカも、どんどんこうグーグルとか、まあそういう大手から辞めて独立して、会社を作るケースというのは非常に多いわけですよね。子会社として作らすみたいなケースというのはグーグルでもあるんですか?

徳生 ないですね。大体出るのにかなり寛容なんですよ。この間の、インスタグラムとか、あれ、うちの若い連中が作ったわけでしょ。だから、そういうのに非常に寛容です。

確かに離職率低いですし、実際ね……出木場さんがおっしゃったように出戻りもいて。僕の弟もグーグル辞めて、会社をグーグラーと4人で作りましたが、。そのうちのエンジニア2人は戻ってきたという例があります。似たようなことは世界各国でも起こっていますね。

 

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