LIXIL「プロ経営者」、不可解な退任劇の裏側 辞めたのか、辞めさせられたのか
このつまずき以前から株式市場は、藤森氏の戦略と手腕を手放しで評価していたわけではなかった。
藤森氏の就任後、LIXILの時価総額は1.3倍になったが、この上昇は、株式市場全体の好影響を受けた程度というのが実情。同じ期間に3倍以上に膨らんだ同業2位のTOTOと比べると、どちらがより投資家に評価されたかは一目瞭然だろう。TOTOは買収に一切頼らず、高付加価値製品を地道に海外に売り込む経営戦略で、売上高こそLIXILの3分の1ながら、より高い収益力を誇っている。
潮田氏が「潮時」と判断したか
結局、藤森氏の経営成果を誰よりもシビアに見定めたのは、経営を委ねた当人であり、取締役会議長として企業統治役に徹してきた、潮田氏なのかもしれない。委員会設置会社であるLIXILでは、潮田氏が數土文夫・東京電力会長らと構成する指名委員会で、取締役候補が選ばれる。藤森氏の退任も、この指名委員会を経て、12月21日の取締役会で決議された。
潮田氏は近年、メディアの取材をほとんど受けていないが、2014年春に小誌に対し、次のように答えている。「自分の寿命が尽きる、さらに先の時代まで、この会社が繁栄できるような枠組みを設けることが私の役割」。ジョウユウ問題の引責を求めたかはもう一つ定かでないが、LIXILのさらなる発展にとって、これ以上、藤森氏は適任ではないだろう――そう潮田氏が冷静に判断したといえそうだ。
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