LIXIL「プロ経営者」、不可解な退任劇の裏側 辞めたのか、辞めさせられたのか

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12月21日の退任発表会見で。藤森氏の表情はいつもより硬かった(撮影:梅谷秀司)

「コンフォタブル(快適)な状態になったら辞める。それがプロ経営者というもの。私はプロとしての信念とプライドで(引退を)決めた」。

住宅設備最大手・LIXILグループの藤森義明社長兼CEO(64)が12月21日、自身の引退を電撃発表した。2016年6月の株主総会における承認を経て、代表権のない相談役に退く。後任には工具通販のMonotaRO(モノタロウ)の瀬戸欣哉会長(55)が就く見込みだ。

社長交代に先駆けて、1月1日からは藤森氏が現職のまま、瀬戸氏を代表執行役兼COOに迎える暫定体制を敷く。冒頭の言葉は、退任発表会見を終えた藤森社長が笑顔で語ったものだが、状況はそれほど”快適”ではなかったのではないか。

プロ経営者の華やかな足跡

藤森氏は、日商岩井(現・双日)から米ゼネラル・エレクトリック(GE)に転じ、46歳の若さで上席副社長に上りつめた。GEの経営中枢に入った初のアジア人だ。その経歴と手腕に、LIXILの経営を託したのが、創業家二代目の潮田洋一郎氏。当時は会長兼CEOだったが、藤森社長を経営トップに抜擢、自らは取締役会議長に退いた。

2011年8月の就任から、藤森氏が矢継ぎ早に手がけたのは、投資総額5000億円に迫る大型M&Aだ。衛生陶器の米アメリカン・スタンダード、水栓金具の独グローエなど、業界の世界的名門を次々と買収。結果として、LIXILの売上高は1.5倍に拡大し、海外売上高比率も1割以下だったのが3割に伸びた(2011年3月期実績と2016年3月期予想の比較)。

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