活況を呈する中途採用市場の実態調査

拡大
縮小

 

●中途採用の課題は「求めるレベルの応募者」

中途採用の課題は2つに分かれる。1つは応募者に関わるもの。もう1つは社内の受け入れ体制に関わるものだ。

両者の課題のなかでずば抜けて多いのは、「求めるレベルの応募者が少ない」だ。業種や規模によって若干異なっているが、全体的な傾向は共通している。「ターゲット外から応募が多い」が2番目に多いが、ターゲット外は求めていないレベルを意味するから、この2つは似ている。

社内の受け入れ体制については「中途採用者向けの研修が確立していない」と「採用後の定着率が悪い」という悩みが多い。育てる体制がないから辞めていくという構図と読むことができそうだ。

図表15:中途採用の課題

●ミスマッチ低減のために面接時にきちんと会社紹介を

最後に、人事担当者から寄せられた中途採用で工夫している点を紹介する。

●採用面接時に本人が話す過去の経験やペーパーの職務経歴書より、社員の紹介者のほうが、安心感がある。
●入社後のギャップがないように、また応募者にも当然選択権があるので、応募受付以降にきちんと企業説明を行う機会を設けている。応募者からは、そういう企業は初めてだと非常に高い評価を受けている。
●入社後も長く勤続してもらえる様に、会社の問題点等話せることはなるべく開示する。
●最近では、ハローワークからの紹介の中にもなかなかいいスキルをもった候補者が出てきている。
●面接時に条件面以外に仕事や会社の魅力、やりがいを伝えています。
●中途採用になると、部門からピンポイントのスキルや技術のオーダーがあるので、部門との密なコミュニケーションを工夫しています。
●選考スピード。書類選考はじめ、各選考結果の返答を遅くとも2営業日以内に実施している(合否問わず)。
●社風とマッチするかを重点に置いているため、面談時間を比較的長めに設定しています。率直な話し合いで、ミスマッチを防いでいます。
●職務経験や知識の点で採用に値するレベルにあっても、その人の価値観や考え方が当社と合わないと感じたときには採用しない。

ミスマッチ防止のためには、企業側からの丁寧な情報開示により、応募者にも選択権を与えることが大切なようだ。

HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
(本社:東京千代田区、所長:寺澤康介)
人事のプロを支援するポータルサイト「HRプロ」を運営するHRプロ内の調査・研究部門。企業・団体のHR(人事)領域に関する調査、研究を行う。外部の調査機関による調査研究結果も紹介するなど、「開かれた研究所」を志向する。「HRプロ」内に、新卒/中途採用、教育・研修、労務、人事戦略などの業務に役立つ調査レポートを掲載している。

 

写真はイメージです。本文とは関係ありません

 

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT