【産業天気図・パルプ/紙】原料・燃料高止まらず、収益は値上げ頼み

製紙業界は、2007年度後半、08年度ともに「曇り」が続きそうだ。
 依然として、原燃料価格の高騰が止まらない。ことに、主要原料である古紙価格が、前年の同時期に比べて新聞古紙で30%、段ボール古紙では50%近い上昇となり、製紙各社の収益を押し下げる要因となっている。中国の紙需要が爆発的に伸びており高値で取引されるため、そのあおりを受けて国内に出回る古紙価格も高騰しているからだ。中国の紙需要急増は当分おさまる気配はなく、古紙価格高騰は続きそうだ。このため、メーカー側は古紙100%のリサイクルペーパーの生産を中止するなど、コスト削減に躍起になっているが、その一方で北米エリアの住宅着工が低下しているために、木材チップの供給が減少。同価格も古紙ほどではないものの上昇が続いているのも懸念材料だ。
 環境対応のために、各社が過去2~3年の間に投資してきたバイオマスボイラーの稼働やLNGへのエネルギー転換などの効果が出始め、原油高騰の影響は幾分かは緩和されつつある。ただ、原油コストの上昇分すべてをカバーできるほどではない。
 このため、「物価の優等生」であった紙も、値上げに踏み切らざるを得なくなっている。2006年から洋紙に関しては3%程度の値上げが行われていたが、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの家庭紙を対象に、王子製紙<3861>、日本製紙グループ<3893>をはじめ各社とも値上げを敢行している。07年度上期には洋紙が、9,10月からは段ボール原紙がそれぞれ10%以上値上げされ、各社とも一息ついた格好だ。だが、原価が引き続き上昇を続けているため、新年度からの再値上げを各社検討し始めている模様。また、新聞用紙も27年ぶりに値上げをするべく交渉を進めているところだ。
 一方、紙流通の大手、日本紙パルプ商事<8032>は、中国・天津に現地の段ボールメーカーと合弁で古紙を再資源化するための拠点を立ち上げた。日本の古紙回収率は7割を超え、これ以上の回収率向上は望めない状況だが、中国の回収率は3割前後といわれており、古紙の再資源化の余地はまだ大きい。中国国内での古紙回収が進めば、日本からの流出も減少し、ひいては古紙価格高騰に歯止めがかけられる、との読みもある。
 過去、紙製品の価格が低位安定し、「物価の優等生」であり続けた背景には、需要が伸びないにもかかわらず供給能力の過剰が続いてきたことがある。そのため、1980年代から業界再編の動きが活発化し、現在では王子製紙と日本製紙グループの2強体制が出来上がっている。だがトップ2社を含む大手4社が、ここ1~2年の間に新鋭機を順次導入する計画を掲げている。基本的にはスクラップ&ビルドが目的だとしているが、トータルの供給能力が増えることは間違いない。国内の需要が吸収できない分、当面中国、東南アジアや北米向けの輸出を拡大すると各社とも説明しているが、そもそも海外輸出の経験は少なく、急速に販路開拓できるという保証もない。国内メーカーの提携・グループ化の動きはまだまだ続きそうだ。
【小長 洋子記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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