一方、スキルとは「仕事をする能力」です。具体的には、経済産業省が2006年に定義した「社会人基礎力」の3つの能力や12の能力要素、SPI3で測定される言語・非言語能力です。
では、企業側が採用選考時に学生の合否を判断する基準とは何でしょうか。それは、「自社に入社して、活躍・貢献できるか否か」だけです。どんな企業も「周囲と協力して成果を出せるか否か」との基準を満たしているかどうかで学生を判定します。次いで、その会社の求めるタイプの人物かどうかという点で判断します。
経験ではなく「能力」を自己分析
先日、30名の就活生の前でお話しをする機会がありました。そこで、皆さんに、「就活で成功するために一番大切なことを1つだけ挙げてください」という質問をしたところ、最も多かった答えは、「自己分析をきちんとすること」でした。そこで、「自己分析」をどのようにしているか聞いてみたところ、ほとんどの答えが、「過去の自分の考えたこと、行動したことを振り返って、紙に書き出してみる」という回答でした。
具体的には、小学校時代から大学(大学院)までの自分の過去を振り返り、学業、課外活動、アルバイト、趣味、友人関係等について振り返ってみて、自分がどういうことに力を注いだか、どんなことを大切に生きてきたか(価値観)を書き出してみるということでした。
実際に、巷で出版されている大半の就活本やキャリアセンターなどでは、この方法が自己分析のやり方であると推奨しています。ですから多くの学生さんは、こうしたやり方が自己分析の標準的なやり方であると認識しています。
他方で、企業で行う「自己分析」とはどういうものでしょうか?
日本を代表する人気企業の研修に10年以上携わってきた私の経験から言えば、「過去を漠然と振り返る方式」で自己分析をやらせたことは一度もありません。
例えば、管理職研修での自己分析では、管理職として求められる40項目の思考や行動に関して5段階で自己チェックをし、部下並びに上司にも5段階でチェックしてもらい、3者の乖離を分析し、その原因を探ります(中堅社員・リーダー社員の研修も求められる項目が違っているだけで同様の仕組み)。
つまり、自己分析とは、漠然と過去を振り返るのではなく、「望ましい思考や行動基準に照らして、自己の現状をデータとして捉える」ことです。そして、分析の結果、強みを伸ばし、弱みを改善するための具体策を立案し、実行し、再度データを取り自分の改善度を測定できる仕組みを自己分析と称しているのです。
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