暑い中、スーツで奔走する就活生の皆様、本当にお疲れ様です。8月1日に大手企業の採用面接も解禁されましたが、就活の進捗状況はいかがでしょうか。
面接にはこぎつけるのに、なんだかうまくいかない。自己分析や志望動機の整理から、業界研究や社会情勢のチェックまで準備は万全なのに、なぜ?――今回は、そんなふうに面接の壁にぶつかっている2016年卒の方々はもちろん、これから就活を始める17年卒の方々にも役立ちそうな本をご紹介したいと思います。
コミュニケーション能力が重要
タイトルは、「『対面力』をつけろ!」(光文社新書)。著者は、「座右のゲーテ」や 「声に出して読みたい日本語」など数々の著書があり、テレビでもおなじみの齋藤孝氏です。就活生を対象にした本ではないのですが、著者が明治大学文学部教授で日頃から学生と接しているだけあり、学生の就活エピソードが随所に挿入されているので、特に就活生には読みやすく参考になるところが多いかと思います。
経団連のアンケート調査(2014年4月入社対象)によれば、企業が採用時に重視している要素の第1位は、11年連続で「コミュニケーション能力」だそうですが、具体的には何を指しているのかは曖昧です。一般的には論理力、文脈力、交渉力などが考えられますが、企業によって求めているポイントが違いそうですし、そもそも企業側もそこまで深く考えていないかもしれません。
本書では、このコミュニケーション能力のもっとも根源的なところにある、社会を生き抜くための力を「対面状況で人と気持ちよく接触する能力」と定義し、「対面力」と名づけています。言い換えると、「状況に即応して、場や相手にアジャストしていく」力、つまり適応力。もう少し詳しく説明すると、柔軟に相手に合わせつつ、自分を印象づけ、「この人とまた会いたい」と思われるための能力のことだそうです。まさに就活の面接に必要な基礎力ではないでしょうか。本書の目的は、この「対面力」を磨くこと。その具体的なトレーニング方法がいくつも紹介されています。
まず第一章では、対面力の基本が反応力であることについて説明しています。相手が発した言葉や表情・しぐさにさっと応じるには、「打てば響くからだ」が必要だといいます。教育学やコミュニケーション論の他、身体論を専門とする著者ならではの主張ですね。軽いジャンプをして肩甲骨をほぐす、冷えた体は温める、ヘソを相手に向けるなど、面接前や面接時に役立ちそうな具体的な体の使い方が提案されています。
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