「就活時期繰り下げ」で見落とされている本質 学生と企業はいつまで就職ナビに頼るのか

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会社説明会や面接など、就活生にとって忙しい日々はまだ続く(写真:anzphoto_Inc, / PIXTA)

来年(2016年)4月に社会に出る大学4年生の就職活動が本格化している。学生や企業によっては、もう最終段階を迎えていると言っていい。

今年度の就活関連のトピックスといえば、次の3つだ。

1.就活時期の繰り下げ
2.売り手市場化
3.内定辞退を防止するための「オワハラ(就活終わらせろハラスメント)」の流行

 

特に「1」に関する話題が日々、伝えられている。この春、社会に出た2015年卒の学生までは、採用広報活動(会社説明会、就職ナビなどにより告知し、募集を行う活動)が大学3年生の12月、選考活動が大学4年の4月だったが、それぞれ大学3年生の3月、大学4年の8月に繰り下げになった。これを企業が必ずしも遵守していない件や、学生が混乱している様子をメディアで見ている読者も多いことだろう。

今年度の就活を語るうえで、これら3つの話題が重要であることは間違いないが、より深掘りした議論が欠けている。一方、この3つの話題に寄りすぎて本質的なところが見落とされている部分もある。

売り手市場がやってきた

今年は、「売り手市場」だといわれている。確かにデータを見る限りはそうだ。就活時期繰り下げの不安からか、さらに膨張した市場になっているようにも思える。

まず、データを確認してみよう。リクルートホールディングスのリクルートワークス研究所は毎年、新卒の求人倍率を発表している。今年4月に発表されたデータによると、2016年度は1.73倍で、昨年度の1.61倍から0.12ポイント増加した。これを過去20年ぐらいの変化をみてみよう。

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