これを加工して比較してみると、2014年度、2015年度は採用広報活動開始が12月1日だった。この調査は3月1日時点のデータから集計している。3月1日は4カ月目ということになる。採用広報活動開始から4カ月目時点の比較をすると、ここでの就職内定率は2014年卒4.5%、2015年卒5.5%、2016年卒34.5%となっており、突出して高いことがわかる。
もちろん、広報開始時期が違うのだから、単純比較はできない。しかし、就活時期繰り下げといいつつも、むしろ内定が出る時期は早期化という現象となっている。
もともと、就活時期を定めた経団連の「指針」には罰則規定はない。解釈も各社に委ねられている。「指針」は経団連に所属していない企業には関係がない。もっとも、やや丁寧に説明すると、政府は就活時期繰り下げについて、国内800の経済団体に要請している。あくまで要請ではあり、法的規制というわけではないが、それでも、経団連企業以外はまったく関係ないかというと、そういうわけではない。
実態はというと、就活をしている学生の約3分の1が内定を持っているということだ。しかも、この数字は「内定を持っているかどうか」を聞いたものであって、内定の絶対数ではない。つまり、この内定を持っている学生たちは、複数の内定を持っている可能性があるということである。
これまでの採用における内定出しのフライングは問題となっていたが、採用広報活動開始から3カ月で約3割強の内定というスピードは驚異的だといえる。
就活ナビの求人件数は過去最高水準に
売り手市場を受けて、求人情報サイトであり、エントリーを受け付けるシステムでもある就職ナビの掲載件数は増加している。ただ、学生たちはこの就職ナビに疑問や不満を抱いている。
就職ナビの掲載件数は過去最高水準にある。就職ナビの2大巨頭と言われるマイナビ(株式会社マイナビが運営)とリクナビ(株式会社リクルートキャリアが運営)の掲載件数を比較してみよう。7月12日現在、掲載件数は「マイナビ2016」が1万6192社、「リクナビ2016」が1万3233社となっている。ここ数年、マイナビが掲載件数を増やしており、2016年度新卒では約3000社上回るという結果となっている。
2000年代半ばの売り手市場だった時代にもマイナビ、リクナビという2大巨頭がともに掲載件数1.2万件を突破している状況は見たことがない。掲載件数の増加の背景には、売り手市場化もあるが、両者の競争激化による部分も大きいだろう。
2000年代半ばよりマイナビが台頭し、掲載件数においてリクナビを抜いてしまった。価格競争も激化している模様だ。
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