「就活時期繰り下げ」で見落とされている本質

学生と企業はいつまで就職ナビに頼るのか

さらには、最近のトレンドでは、学校推薦という制度が徐々に広がりつつあるのも特徴だ。学校推薦選考といえば、理系の技術職や、金融機関の特定総合職を女子大から選考するなどの場合に使われていたが、普通の文系大学において増加しているのが今年の特徴だ。ヒアリングの結果では中堅大学では2〜3割程度の増加を見せている。絶対数では20社前後であるものの、今後も増える見込みだという。

企業と大学が直接つながろうとしている動き。これが2016年新卒の小さくても大きな変化なのではないか。

就職時期繰り下げの真相

今回の就活時期繰り下げというのは、この20年間の就活に関する時間を一気に戻したものだと解釈している。就活時期は当時の実態に近くなった。この20年間、ネット就活の時代だったが、リアルな接点に回帰した(もっとも、この間もリアルな接点はものを言っていたのだが)、スケジュールが不透明になったなどの点においてである。

就活時期繰り下げに関する批判は渦巻いているし、私もむしろ以前のスケジュールの方が学生にとってはわかりやすかったのではないかと思う。ただ、時期変更、売り手市場化の混乱などにより、今年の実態は異常ともいえ、数年後には定着している可能性はある。とはいえ、単に時期変更に対する賛否ではなく、学生と企業はどのように出会うのかというそもそもの議論こそ必要だし、そのつながりに変化が見えていることこそ注目すべきではないか。

さて、これで大学は得をしたのだろうか。今回の繰り下げにより問われるのは、むしろ大学ではないかと思う。就活時期を繰り下げて学生は勉強するようになったのか(理系はもともとむしろ繰り下げた方が学業に影響があるとわかっていたが)、留学するようになったのか、就職実績は上がったのかなどが問われる。

そこで、大学は変わらないという既成事実が出来たとしたならば、ではより勉強するように、就職できるように専門職大学化をすすめよという議論が起こるようなるに思う。実はこの就活時期繰り下げというのは、大学改革をめぐる議論と重なっているのではないかと私は見ている。

2016年の就活は歴史の証人となるべく、また今後をよりよくするための議論をすべく、私たちは冷静に直視し、振り返らなくてはならない。

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