第二章は、「話上手・聞き上手・間合い上手にこうしてなる!」と題し、さらに実践的な会話の極意が凝縮されています。セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の「あがり症」克服のエピソードや、瞬発的思考力をアップさせる15秒要約の練習法などは、すぐに面接に生かせるでしょう。その他、「オウム返し」や「名前の呼び方」、「前置きはしない」など、就職後も会議やプレゼンに役立つコツが学べます。
相手が気持ちよく話せる聞き方とは?
これからOB・OG訪問をする人にぜひ読んでほしいのが、「世渡り上手」の実践法や対面の楽しみ方について書かれた第三章と第四章です。社会人にとってもちょっと高度なテクニックが紹介されていますが、中でも「相談を持ちかけるワザ」や、どう聞けば相手が気持ちよく話せるかといった「取材感覚」の大切さなどは、先輩たちから企業のリアルな情報を引き出すうえで、ぜひとも知っておきたい内容。入社後のミスマッチを防ぐためにも、対面力は生きるのです。
学生課から要注意人物と目をつけられていた女子学生が、抜群の対面力を武器に「内定の女王」となり、入社して半年後には社長秘書になったというエピソードや、会ったことがない人に電話をかけることができず、仕事に支障をきたす東大卒生の話などは、対面力の有無により人生が左右されてしまう興味深い実例です。
余談ですが、筆者も先日友人から「ホントに電話をとらない新人がいるのよ」という話を聞きました。注意をしたらふてくされてあいさつもしなくなったそうで、友人は「もう見捨てた。育てようとは思えない」とあきれていました。この新人が怖くて電話がとれないのか、面倒だから電話をとらないのかはわかりません。しかし、いずれにせよ、電話で直接話をするというある種の対面を拒絶し、取引先の名前や担当者を覚える、覚えてもらうなどの経験や学びの機会を逸したうえ、先輩との良好な関係をも失ったのは事実。ぜひとも、就活のためだけではなく、充実した社会人生活を送るためにも、今のうちから対面力を磨いておくことをお勧めいたします。
皆さんも組織に入ればおわかりになると思いますが、企業の採用基準は毎年変わったりします。内定を得られなかったとしても、たまたま皆さんの個性と合わなかっただけで能力とは無関係だという場合が多々ありますので、気を落とす必要はありません。ただ、同じ能力の学生がいた場合、企業は「対面力」が高いと感じる方を採りたいと思うものです。「対面力は練習によってはっきりと向上する力」と著者は述べています。面接に自信のない人、特に人と対面したときに緊張してしまう、間が怖い、疲れてしまうといった人は、本書のトレーニングを試してみる価値がありそうです。
著者の書籍には、他にも面接に役立ちそうなものとして、「1分で大切なことを伝える技術」(PHP新書)や「コミュニケーション力」(岩波新書)、OB・OG訪問や説明会で役立ちそうな「質問力」(筑摩書房)などもありますので、参考になさってください。
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