そして、現実感をもたせる重要な部分であるグラフィックの描画性能においては、VRのソフトウェアを動かすシステム部分は最新の据え置きゲーム機やゲーミングPCが推奨されており、スマートフォンでは描画性能の限界が存在する。
価格面の問題については、2014年夏にグーグルが段ボールで作ったVR用ゴーグル型フレームと、それに対応した映像コンテンツをカンファレンスの来場者に配布したことがある。スマートフォンさえあれば段ボールでも気軽に環境は作れ、VRサービスの提供は容易とされたが、描画性能の限界については技術革新を待つしかないだろう。
一般向けにVRのすごさ・面白さを伝える
NRIが2015年7月に実施した情報通信に関するアンケートでは、こうしたHMDの購入意向がある人は、回答者全体の約6%に留まった。一方で、回答者を最新据え置きゲーム機(PlayStation4、Wii U、Xbox One)をよく利用している人に限定すると、購入意向のある人の比率は約24%に増加した。
大きな比率の差があることから、VR、またはそれに近いゲームなどを体験した人は、HMDによるVR体験に対しての理解が早く、また高い価値を感じていることを表している。
よって、今後VRサービスをより普及させていくためには、業界一丸となって、試遊・体験会を、ゲーム好きではなく一般消費者向けに行い、VR体験のすごさ・面白さをより幅広い層に伝えていく必要があるだろう。
今後は、Oculus RiftやPlayStation VRのように完全に視界を仮想空間で埋める完全VRのサービスのほか、アップルやグーグルが出資するMagicleap、そしてマイクロソフトが研究開発中の、現実の視界にグラス型端末などでVRを重ねる、複合現実(MR: Mixed Reality)のサービスも発表が増えてくるとみられている。
MRを用いれば、たとえオフィスにいても、自分の視界の中では敵が襲ってくるゲームの戦場ステージになったり、何もないデスクの上に家族の写真立てを突然出現させたりすることも可能になる。
VRは次世代VR元年たる2016年はもとより、2017年以降もMRなど、その動向をウォッチするのが楽しい領域となることは必至である。もしまだHMDによるVR体験をされていないとしたら、ぜひ体験してみることをおすすめしたい。
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