【産業天気図・パルプ/紙】原油、古紙高騰が打撃で今期は「曇り」。回復は値上げの浸透頼み

原料古紙、チップ価格の高騰、石油高騰による燃料費高と、製紙大手を巡る環境は厳しい。いずれも短期的に回復する見込みはなく、値上げと円高(輸入チップ価格低下のメリット)頼み。しばらくは「曇り」空が続きそうだ。
 とくに、3月末時点から7月末時点までの間に古紙価格は50%近く上昇しているうえ、チップも広葉樹、針葉樹とも値上がりが続く。さらに原油価格上昇による燃料費上昇に加えて、バイオエタノールへの関心の高まりから、製紙用薬品原料のコーンスターチ価格までが上昇するという八方ふさがり。古紙も今では段ボール向けだけではない。印刷用洋紙にも何割かは使われているため、古紙価格上昇は、洋紙メーカーにとっても打撃となる。前06年度中にも、10%近い値上げを実施してはいるものの、このままでは赤字転落、という危機に迫られて、今期初から、王子製紙<3861>、日本製紙<3893>の総合ガリバー2社に段ボールのレンゴー<3941>も加わって、強気の姿勢で値上げに向かった。このため7月には洋紙でほぼ想定通りの10%の値上げが実施され、9月には段ボール原紙、段ボールシートも10~15%の値上げを実施すべく交渉を進めている。
 代理店や卸商などの流通各社も、今度ばかりは仕方がない、とあきらめムードが漂っており、特殊な受注品や新聞用紙を除く市況製品ほぼ全般に値上げが実施されそうだ。特注品なども契約公開時を機会に順次価格修正を実施していく方針で、過去27年間値上げが一度もされなかったという「物価の優等生」新聞用紙も、年度替わり時期には値上げを呑まざるを得ないことになるかもしれない。
 これを前提に、王子製紙、日本製紙のトップ2社の営業利益は増額の見込みだ。とはいえ、もともとが大幅な減益見通しだったため、減益幅が縮小するに止まる。今回は減損などの特殊要因はないものの、日本製紙はレンゴーとの提携効果を出すため今期中をメドに生産、物流等の再編の方針を決定する見通し。決まれば、今期末に引当金として損失計上する可能性が高いため、最終利益はゼロになる可能性もある。
 あおりを食うのが、中間にいる代理店、卸、そして段ボール加工メーカーのグループだ。洋紙の主要ユーザーであるオフィスや出版業者は、価格競争のなかで値上げをなかなか呑まない。一方、段ボールユーザーは大手飲料メーカーなどで、コスト削減の一貫で値下げ圧力をかけてくる側。今回の値上げに関しては比較的寛容な感触で、100%は無理にしてもいくらかは・・・と、段ボール各社も期待を寄せるが、値上げの浸透次第では、本当に赤字転落する会社も出るかもしれない。
【小長 洋子記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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