【産業天気図・海運業】バラ積み船運賃暴騰が続き、多少の円高や燃料油高はカバー。07年度後半までは「快晴」

海運業界は海運市況の一段高を背景に「快晴」が続いている。07年度後半は足元の海運市況に大きな崩れはないとみて「快晴」、08年度前半はさすがに市況がある程度軟化するとしても「晴れ」は維持できそうだ。C重油を中心とした燃料油の高騰や、このところ加速ぎみの円高は利益にとってマイナス要因だが、運賃水準の上昇で利益水準も大きくカサ上げされたため、多少の燃料油高や円高は吸収される形となりそうだ。
 海運市況の中でも暴騰し続けているのが鉄鉱石・石炭・穀物など乾いた貨物を運ぶ「バラ積み船」。大型バラ積み船は北京オリンピックを控えた中国の鉄鋼需要拡大に加え、鉄鉱石産出国のオーストラリアで港湾荷役能力が追いつかずに滞船が続いていることから需給が逼迫。中小型バラ積み船も、バイオ燃料ブームの余波で世界的に穀物争奪戦が過熱していることが運賃暴騰を引き起こしている。この状況はしばらくは続きそうだ。
 製品や部品などを運ぶコンテナ船も、活況経済が続く欧州向け航路を軸に運賃回復が続いている。年1回、春先のみに運賃更改を行う北米航路では運賃値上げは期初想定を下回ってしまったが、年4回運賃更改がある欧州航路では、4月に続き7月も満足のいく水準での運賃値上げに成功している。
 こうした状況を受け、海運業界では日本郵船<9101>、商船三井<9104>、川崎汽船<9107>の大手3社をはじめとして、第1四半期時点で早くも今期業績見通しを増額修正する企業が相次いだ。もっとも、海運各社の事業ポートフォリオは一様でないため、増額幅や今後の再増額の可能性もまちまちだ。
 日本郵船は大型バラ積み船が長期契約で運賃水準が固定されている比率が高い。中小型バラ積み船については短期スポット契約が主流のため運賃暴騰を享受しているが、バラ積み船全体では同業他社ほど市況高騰の恩恵を享受し切れていない。空運子会社・日本貨物航空の赤字幅が期初想定よりも拡大しそうなこともマイナス要因。今回は増額修正したが、再増額余地は同業他社よりも小さい可能性がある。
 一方、商船三井は、郵船とは違い海運集中路線を標榜しており、大型バラ積み船についても短期契約のウエイトが高いため、足元の運賃市況に連動する面が大きい。期初予想に対する利益増額幅も郵船に比べ多少控えめであり、再増額の余地が大きい。三番手の川崎汽船はコンテナ船の比率が郵船・商船三井より高く、欧州航路の採算改善効果が発現している。今回の増額幅は大手3社で最も控えめで、増額後の会社の通期連結営業利益予想に対する第1四半期実績の進捗率は、郵船の25・7%、商船三井の27・9%に対し、川崎汽船は32・6%。再増額余地はやはり大きい。
 以上のような背景から、『会社四季報』秋号予想では、郵船については会社予想と同程度の増額にとどめたものの、商船三井と川崎汽船については会社予想よりも増額幅を上乗せしている。
【大滝 俊一記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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