冬にしか作れない線香花火がある…輸入99%時代に"400年の技"をつなぎ、日本最後の「藁の線香花火」を守り伝える花火師一家の覚悟

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筒井時正玩具花火製造所では花火のばら売りもしている(写真:筆者撮影)

「くさい」が「懐かしい」に変わる

その答えのひとつが、線香花火を作る体験を届けるワークショップだった。ワークショップでは参加者が0.08gの火薬を紙で包み、指先でこよっていく。自分で作った線香花火は、火玉がすぐにポトッと落ちてしまう。一方で職人が作った線香花火は、美しく4段階の変化を見せる。

「自分で火薬を入れて作ってみると、職人の花火がどれだけ難しいかわかるんです。金のテープで10本くらい巻かれた線香花火に同時に火をつけた、というひとも結構いる。でも自分で作ってみると、1本がどれだけ大事かに気づける」

ワークショップに参加した子どもたちは最初、火薬の匂いを「くさい」と言う。ところが、子どもの頃に線香花火を体験している子どもたちが大人になると、「くさい」が「懐かしい」に変わる瞬間が訪れる。

「この『懐かしい』って思いがなくなると、伝統って消えると思うんです。懐かしさが、伝統をつなぐ」

今日子さんは言い切る。

その1本の線香花火を磨き続けてきた良太さんは、何に惹かれたのだろう。

線香花火は燃え方の段階ごとに呼び名が付いている。これは「松葉」。まるで松葉のように勢いよく火花が飛び出している(写真:筆者撮影)

「よく、みんなで集まって線香花火して、誰が長く火がもつかって競争したでしょ?1本1本違う。線香花火は『一期一会』って言葉がよく似合う花火なんです」

「1本の花火に、ひとつの人生」

良太さんは、にっこりと笑う。

技術を磨き、原料を守り、体験を届ける。そのすべてが、400年の伝統を未来へつないでいく。

その歩みには、花火師一家に嫁いできた妻・今日子さんの存在も大きかった。その物語は、後編へ――。

良太さん(写真:筆者撮影)
後編:「線香花火に1万円なんてありえない」と猛反発された…でも「これは100円で売る花火じゃない」小さな工房で花火師の妻が起こした静かな逆転劇
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サオリス・ユーフラテス インタビュアー・ライター

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さおりす・ゆーふらてす / Saoris Euphrates

1979年、佐賀生まれ。製薬会社勤務を経て、2007年より14年半リクルートエージェントに勤めた後、2021年に独立。福岡を拠点に人の人生を深掘りするインタビューや、経営者のアウトプットサポートをメインに活動中。
X:@osiris76694340

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