冬にしか作れない線香花火がある…輸入99%時代に"400年の技"をつなぎ、日本最後の「藁の線香花火」を守り伝える花火師一家の覚悟
長男も花火作りに携わるが、良太さんは「まだまだ俺がやれるけんね」と腕をまくる。
一方で、商品が売れはじめると、新たな課題が花火師一家を待ち受けていた。
原料もなくなっていく
技術を守っても、原料がなければ作れない。
2014年頃、「スボ手牡丹」の持ち手に使う稲藁の芯が手に入らなくなった。藁用のほうきを製造していた業者から、ほうきに使用する穂先以外の不要な茎部分を譲り受け、花火に使っていた。しかし、ほうきの製造業者が高齢となり辞めてしまい、藁が回ってこなくなったのだ。
稲藁自体は日本にもあるが、コンバインで茎を短く刈られた稲藁は使えない。
「ないなら、作るしかない。うちが辞めてしまえば400年の歴史を途絶えさせることになる」
ふたりは地元の農家に頼み、長くカットしてもらった藁を乾燥させ、1年かけて芯を抜き出した。さらに地域の協力を得て耕作放棄地を購入し、新規就農に踏み切る。線香花火を作るために、米作りからはじめたのだ。
「冬の、できたて線香花火」をはじめ、「スボ手牡丹」の持ち手には自分たちで育てた米の稲藁が使われている。天候に左右され、台風が来れば稲は倒れ、鳥や虫との戦いもある。それでも、線香花火を作り続けるためには、避けて通れない道だった。
稲藁の確保にめどが立った矢先、次に立ちはだかったのが松煙の問題だ。
伐採後30年以上寝かせた松の根を燃やし、その煙から採取する煤(すす)は、火花を美しく散らすために欠かせない。ところが国産松煙の需要は低下し、供給が途絶えかねない状況にある。
良太さんたちは、この松煙も自分たちで作る準備をはじめている。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら