冬にしか作れない線香花火がある…輸入99%時代に"400年の技"をつなぎ、日本最後の「藁の線香花火」を守り伝える花火師一家の覚悟

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もうひとつは、東日本で広まった「長手牡丹」。和紙をよった紙縒り(こより)を軸にしたものだ。藁が手に入りにくかった東日本では、手すき和紙が盛んだったことから、紙を使った線香花火が広まった。

左がスボ手牡丹、右が長手牡丹(写真:筆者撮影)

筒井時正玩具花火製造所が作る「冬の、できたて線香花火」は、この西の線香花火、スボ手牡丹だ。つまり、藁を使った線香花火である。

そして今、このスボ手牡丹を作っているのは、日本で唯一、筒井時正玩具花火製造所だけだ。

では、「スボ手牡丹」は、どうやって作られているのか。

冬だからこそ、いい

線香花火の原型とも言われる「スボ手牡丹」の構造はシンプルだ。

稲藁の芯の先に、硝石、硫黄、松煙(しょうえん)といった自然由来の原料を配合した火薬を、膠(にかわ)で練り合わせて付ける。できあがったものは半日ほど屋外で干し、まず外側を乾燥させる。

この乾燥工程が、線香花火の出来を大きく左右する。

膠は動物の骨や皮、腱などを水で煮た液を乾かし固めた、ゼラチンのような物質だ。気温が高いと固まりにくく、夏場は火薬が流れやすい。逆に気温が低く空気が乾燥した冬は、火薬が「カチッ」と定着し、線香花火の品質が安定する。そのため、12月から翌年3月くらいまでが製造の最盛期となる。

つまり、この線香花火は冬に作るのが最適なのだ。さらに冬は空気が澄んでいて、火花が美しく見える。

「スボ手牡丹」は火先を上向きに。風があるほうがきれいに花が咲くと今日子さんが教えてくれた(写真:筆者撮影)

筒井時正玩具花火製造所は、「冬に作って夏に売る」という従来の流れを変え、「冬の、できたて線香花火」として売り出した。

「夏物を冬にも売る」のではない。「冬だからこそ、いい」と言い切れる線香花火なのだ。

福岡県みやま市は、1592(文禄元)年にはじまったと伝わる奉納花火「竹飯の花火」など、江戸時代を越えて花火文化が受け継がれてきた土地だ。

ところが1970年代、安価な中国製の線香花火が市場に入ってくる。

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