レアアースで揺さぶる中国に対抗できるのか? 日本が握る"代替困難"な製品の正体
さて、問題はこうした日本企業の優位性を外交上の武器として使うかどうかだが、これはなかなか難しいと言っていい。中国はすでにレアアース関連製品の対日輸出について、軍民両用(デュアルユース)の審査を厳格にしたことを発表しており、実際に輸出許可が滞っていると報道されている。
こうした動きを受けて、日本政府は中国に対して日本が独占する製品や技術を、中国向けに規制した場合、どんな結果になるのか。すでに安倍政権時代に実施された韓国に対する輸出規制は、韓国側は直後に「脱日本」を掲げて、自国での生産に切り替えている。その後、規制は解除されたものの、日本企業への不信感を高める結果となった。
ただ、韓国と日本は同じ西側で、いわば同盟国に近い存在。最終的な決裂にまでは至らない事は容易に想像できた。しかし中国の場合は、そうはいかない。2026年初頭、中国政府は半導体設備の国産化率50%目標に掲げている。すでに、以前から日本の技術に依存していることは認識しており、中国はすでに急ピッチで対応を進めているはずだ。それでも日本が中国に対して輸出規制に踏みきれば、中国のAI強国への道に短期的にブレーキがかかるかもしれないが、長期的には乗り切るはずだ。
中国に大きく依存している製品が多数
その一方で、日本の影響は計りしれない。中国からの輸入品に頼っている業種は数多いし、中国の工場で製造している企業は想像以上に多い。たとえば、パソコンやスマホ、エアコン、衣類といった品目の大半は、製造拠点を中国に依存しており、さらに抗生物質の原材料や抗菌性物質、医療医薬関係の多くは中国からの輸入に頼っている。また、リン酸アンモニウムや尿素といった農業生産に不可欠な化学肥料も中国に大きく依存している。
仮に中国からの輸入が止まった場合、代わりに輸入できる国がないという意味での100%依存状態の製品も少なくない。日本政府は、こうした現実を踏まえて、他国への過度な依存を防ぐ意味で、11の分野を「特定重要物資」に指定して、供給先の多角化を図っているものの、トランプ関税等で混乱する世界経済では、なかなか進んでいないのが現実だ。
いわば、日本と中国は「恐怖の均衡」を維持しながら、付き合っていくしかないのが現状だ。こうした現実から、中国ではレアアースの輸出規制については、民生用製品の輸出には影響しないと説明しており、目的はあくまでも日本の再軍備を阻止することだとコメントしている。
ある意味で、日本が持つ様々な唯一無二の技術を外交上の戦略として使うには、極めて慎重にならざるをえない状況だ。
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