レアアースで揺さぶる中国に対抗できるのか? 日本が握る"代替困難"な製品の正体
例えば、日本が世界シェアを独占する企業や技術というのは、意外なところに存在している。食品会社として知られている味の素の「ABF(味の素ビルドアップフィルム)」もそのひとつだ。ABFは、半導体とチップの基板を接続させるための絶縁材料だが、高性能CPU/GPU用ではほぼ100%に近いシェアを長年維持していると言われている。半導体製造には不可欠な絶縁材料と言っていい。
むろん、エヌビディアのチップなどのAIサーバーも、このABFがないと生産がストップしてしまうといわれている。95%以上の完璧なシェアがあり、いわゆる「チョークポイント・ストラテジー(構造的優位性)」を持っている工業製品といえる。莫大な利益を生む市場がストップすることになり、外交上の強力な武器になると指摘されている。
簡単に紹介すると、精密機械の心臓部であるCPUに使用するための絶縁体で、回路以外に電気が流れてしまうことを防ぐフィルム。半導体などは、小さなスペースに複雑な回路や微小なパーツがふんだんに詰め込まれる構造になっており、優れた機能を持つ絶縁フィルムは不可欠だ。味の素はこれを食料品の製造技術をベースに開発、製造。1999年には大手半導体メーカーに採用されている。世界中のCPUに採用されており、2021年に生産された「PlayStation 5」の販売の遅れは、味の素のABFの生産が追いつかなかったから、という報道もある。
世界シェアが高い日本の技術
こうした世界シェア90%以上という製品は、ABF以外にもいくつか存在している。簡単に紹介すると次のようになる。
● EUVペリクル(三井化学)
EUVとは、半導体製造装置で使われる次世代露光技術のひとつで、日本語では「極端紫外線」と呼ばれる。半導体製造装置において、シリコンウェハー上に極めて微細な回路パターンを露光するために使われる最先端の光技術だ。三井化学のペリクルとは、EUVの際に設計図にゴミがつかないように守る超薄膜のこと。唯一同社が量産体制を確立しており、そのシェアは90%以上と言われている。
● EUVマスクブランクス(HOYA)
半導体製造の過程で不可欠と言われるのが、半導体の原版となるガラス板。フォトマスク、マスクブランクスと呼ばれるガラス板は、究極の平坦度が求められ、世界中の最先端チップは同社のガラスから生まれていると言われている。シェアは7~8割とされているが、事実上の寡占状態とも言われている。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら