ドンロー主義で東半球は無視? トランプ大統領「ベネズエラ急襲」に透ける《日本切り》の恐怖
今回のベネズエラ問題は、世界を中国やロシアといった「反米勢力」と、EUなど「国際秩序重視」勢力に分けた。後者にはトランプ大統領の行動について温度差があるが、それはトランプ大統領の“これからの行動”に不安があるためだろう。
実際にトランプ大統領が次のターゲットにしているといわれるのが、デンマークの自治領であるグリーンランドだ。アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は「アメリカは軍事的手段で対処する選択肢を持っている」と公言した。そうなれば、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国であるデンマークとアメリカの間で軍事衝突が起きることになりかねない。
ベネズエラ危機は“対岸の火事”ではない
日本にとって見逃せないのが、こうした行為は「ドンロー主義」に基づくことだ。ドンロー主義とは、西半球についてヨーロッパ諸国の干渉を拒否したモンロー主義をもじったもので、トランプ大統領のお気に入りのフレーズだ。これならば、「世界の警察」の役割を担う必要はない。
だが、アメリカに東半球を放棄されては、日本は困る。昨年11月の高市首相の「台湾有事発言」以降、中国は日本に対して敵対行為を続けている。昨年末には台湾を包囲する形で、大規模な軍事演習「正義使命―2025」を実施した。
そこで「頼るべきは法」ということなのか。高市首相は1月7日、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長と国際司法裁判所(ICJ)の岩沢雄司所長と官邸で面会した。ICCは21年、マドゥロ政権に対して「人道に関する犯罪」の容疑で捜査を開始。妨害に遭いながらも24年に上訴再審部が捜査再開を正式承認した。
なおアメリカはICCに加盟しておらず、トランプ大統領は25年2月、ICCへの制裁を可能にする大統領令に署名した。理由は、パレスチナ問題をめぐってICCがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相らに対する逮捕状を発付したことだった。
赤根氏らはまた、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に逮捕状を出したことで、モスクワの裁判所で有罪判決を受けている。トランプ大統領がマドゥロ氏を捕獲したのが「政治的正義」なら、ICCの活動は「法に基づく正義」といえるだろう。
国際政治は国内政治以上に“駆け引き”が意味を持つ。3月に予定される訪米で、高市首相は日本の存在を大きくアピールできるのか。太平洋を隔ててパナマ運河を越えた先のベネズエラで起こったことは、決して“対岸の火事”ではない。
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