ドンロー主義で東半球は無視? トランプ大統領「ベネズエラ急襲」に透ける《日本切り》の恐怖

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ベネズエラに対する各国の反応はさまざまだ。中国は報道官談話として、「ベネズエラの主権侵害とラテンアメリカおよびカリブ海の平和と安全を脅かすもの」として反対の意思を示した。ロシア外務省も「武力による侵略行為」と批判した。

EU(欧州連合)やイギリス、フランスなども、今回のアメリカ軍による襲撃について、国際法を理由に反対の意思を表明している。ベネズエラと同じラテンアメリカのブラジルやメキシコも、アメリカに対する批判の声明を出した。

ただし、それらの批判は一様ではない。2018年5月に行われた大統領選はマドゥロ氏の圧勝とされたが、リマグループ(ベネズエラの民主主義回復の支援を目的に、オープンな形でフォローするための外相グループ)をはじめ、アメリカやEU諸国によってその結果を拒否された。日本もほかのG7諸国とともに、5月23日に選挙プロセスを拒否する声明を発表した。

また24年7月の大統領選でも、アメリカやアルゼンチン、ペルーなどは、当選者はマドゥロ氏ではなく、対抗馬であるエドムンド・ゴンザレス氏との認識を発表。日本など多数の国は、選挙管理委員会に対して詳細な投票結果の公表を求めた。

“まだら模様の反応”に透ける各国の思惑

そうした姿勢を貫くなら、今回のアメリカ軍によるマドゥロ氏への襲撃は武力を行使したとはいえ、「正統性」を否定されていたマドゥロ政権をかばう必要はない。

例えば、イタリアのジョルジャ・メローニ首相は1月3日、軍事力による体制転覆は否定しつつも、麻薬密売に関与する政権に対して「防衛的な介入は正当」とのコメントを出した。フランスのエマニュエル・マクロン大統領も「ベネズエラ国民は独裁者から解放された」と評価した。

もっとも、フランスは革命によりアンシャン・レジーム(旧体制)を打破した歴史を持ち、イタリアには24年のベネズエラ大統領選でイタリア人が拘束されたという、それぞれの背景がある。

日本は1938年にベネズエラと国交樹立以来、第2次世界大戦時に一時は断交したが、移民による日系社会の構築など、交流の歴史は深い。その一方で、日本から乗用車やエンジンなどが輸入され、日本へはカカオ豆やアルミニウムインゴットなどが輸出されているが、それらの金額はさほど大きくない。

むしろベネズエラにとっては、中国のほうが重要なパートナーといえよう。過去の大統領選でマドゥロ氏を支持した中国は、世界一の埋蔵量を誇るベネズエラが産出する石油(オリノコタールと呼ばれ、高コスト)の最大の輸出先だ。

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