グーグルCEOは社員6万人の声を聞いている 階層を飛び越えた繋がりが透明性を生む
自分が外されてしまった場合に、中間マネージャーは不安で仕方がなくなります。そこで、あなたの知らないところで話が進んでいくわけではないんだよ、という具合に安心させる必要があります。自分が外されたわけではないと思えれば、実は直訴されても、心配しないはずなのです。
具体的には、EメールのCCにそのマネージャーを入れてしまえばいいわけです。たとえば従業員からラリーに対するメールの中に「ラズロのやり方には問題がある」という意見があったとしましょう。それに対するラリーからの返信には、CCにラズロを入れればいいわけです。こうすれば、問題解決を図る中で巻き込んでしまうことができます。
人としての誠実さは教育できるものではない
――東芝の不正会計問題を御存じでしょうか。フォルクスワーゲンの排ガスデータ不正操作問題もありました。こうしたことを防ぐためにグーグルでは何をしていますか。
いくつかグーグルでも気をつけていることがあります。決して完璧な会社であるとは考えていないので、まだまだ直していかなくてはいけないこともたくさんあると考えていますが。
そのうちの一つは、社員が何か懸念を抱いた場合には、それを伝えることができるチャネルを複数設けておくということです。コンプライアンス部門がありますし、人事部門があります。それから、実は外部の電話番号とか、あるいはEメールアドレスとかがあって、外にそれを相談することができて、そこからスクリーニングしたその結果が社内に伝えられるということもあります。それと、グーグラー(社員)の中にもボランティアがいて、相談を受け付ける人たちがいるんです。私のチームにもいますけれども。複数のチャネルを設けておくことによって、組織の風通しを良くする効果を期待しています。
あと、実際になんらかの失敗をしてしまった場合には、例えば病院で何か医療事故が起こった場合には、必ず何が起こったか、事後検証が行なわれますよね。それと同じように私たちも、ポストモーテム(死後の解剖、事後検証)を行ないます。そうすることによって、間違いを犯してしまったとしても、きっちりとその原因を検証し、同じ間違いを1度きりにすることを目指します。
間違いというのは二つのカテゴリーがあって。一つ目は、誰かが本当に失敗をした、いう場合です。その場合、その人は大失敗をしたということが分かっているので、それを直すことができると思います。ただ、もう一つは、インテグリティ(誠実さ)の部分です、人格的な部分に原因があって間違いや失敗が起こってしまったときには、解雇するしかなくなる場合があります。もう子供ではなく、大人なのです。人の誠実さは、大人になってから教えられるものではないと思います。
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