なぜ「あのダメ上司」は出世したのか?嫌いな上司の下でも「最高の成果」を出す人の立ち回り方

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これを曖昧にしたまま「わかりました」と請け負ってしまったら、絶対に良い結果は出せません。Aを実現しても「Bはどうなってるんだ」といわれてしまいます。

ですから上司から指示を受けたときは、それが全体的に整合性の取れたものかどうかをチェックするのが大事。「あちらを立てれば、こちらが立たず」といった矛盾があれば、実行に移る前に確認して矛盾を解消しておかなければいけません。

矛盾した指示のなかでもよくあるのが、その中身に「トレードオフ」の関係にある事項が併記されたものです。たとえば新しい事業をスタートさせるなら、それにリスクが伴うことは避けられません。それを「リスクを取らずに成功させろ」という上司がいたとしたら、トレードオフの原則を無視しています。

前にもお話ししましたが、トレードオフとは「何かを選んだら何かを捨てる」ということ。その当たり前の感覚を持ち合わせていないと、「得る」ことばかり考えてしまって、「捨てる」ことができません。本来は「何を捨てるか」を決断するのがリーダーの役目なのですが、それができない人が意外に多いのが実情です。

「できないものはできない」と伝える

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「A案がいいと思うが、B案も捨てがたい」などといって迷った挙げ句、両方の折衷案を出せといい始める――そんな上司が、あなたの会社にもいるかもしれません。

そういう「いいとこ取り」のやり方はたいがい途中で破綻をきたすので、早い段階で指摘して、どちらかを捨てさせるべきです。

そういった矛盾をはじめとして、上司の指示には時として「実行不可能」な内容が含まれています。理想を追求しすぎているために、現実が見えていないこともあるでしょう。そこを曖昧にしたまま、なんとなく「まあ、上司がそういうならやってみるか」などと動き出してしまうと、作業はすぐにスタックします。

基本的に、上司は部下よりも業務の範囲が広いので、それぞれの現場の事情にはあまり明るくありません。指示された個々の業務の「現実」は部下のほうがよく知っています。ですから、上司が気づかない矛盾や不可能性をはっきりと指摘するのも部下の役目。与えられた職務を確実に実行するには、「できないものはできない」と伝えることが大切なのです。

まとめ
● 鬱陶しい上司であっても、なぜ社内で評価されたのかを考察してみる
● 上司が気づかない矛盾や不可能性に気づいたら、指摘するのも部下の役目
出口 治明 立命館アジア太平洋大学(APU)前学長・名誉教授

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でぐち はるあき / Haruaki Deguchi

1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒業後、日本生命保険相互会社入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2005年に同社を退職。2008年にライフネット生命を開業。2017年に代表取締役会長を退任後、2018年1月より現職。『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『人類5000年史Ⅰ』(ちくま新書)、『「全世界史」講義Ⅰ、Ⅱ』(新潮社)、『仕事に効く教養としての「世界史」Ⅰ、Ⅱ』(祥伝社)、『本の「使い方」1万冊を血肉にした方法』(角川oneテーマ)、『教養は児童書で学べ』(光文社新書)、『ゼロから学ぶ「日本史」講義Ⅰ』(文藝春秋)など著書多数。

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