トランプ政権の「ひどすぎる国家安全保障戦略」で大ショック、いよいよ欧州は「アメリカ離れ」を決意しそうだ

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中身を読んでみると、どうやらJ・D・ヴァンス副大統領やスティーブン・ミラー大統領次席補佐官の意見が色濃く反映されている。欧州に対する厳しい評価は前者から、大量移民、自由貿易、グローバル化の否定には後者の影響が見て取れる。つまり「トランプ第2期政権の世界観」を知るうえでは、この文書は非常に示唆に富む。その反面、どこまで本気でやるつもりなのかは計りかねるところがある。戦略文書としてはいささか問題ではあるまいか。

「重要5地域における戦略の要点」とは?

中身については、すでにいろんなところで報道されている。「モンロー主義のトランプ版」”Trump Corollary to the Monroe Doctrine”を打ち出したとか、「アトラスのように、アメリカが単独で世界秩序を支える時代は終わった」などの印象的なフレーズは、すでにお聞き及びのことと拝察する。

この文書、全体で19ページある。通読に挑戦してみようという方は、前半の「トランプ節」の部分はすっ飛ばして、後半15ページにある地域別戦略を読んでみることをお勧めする。以下に要点をまとめておこう。

1 西半球:「モンロー主義のトランプ版」に沿って、アメリカの権益を確保する
2 アジア:経済で中国に勝ち抜くとともに、軍事的対立を防ぐ
3 欧州:欧州文明を回復させる。そのためにはロシアとの「戦略的安定」を
4 中東:エネルギー権益は守るが、かつてのような戦争は回避する
5 アフリカ:従来の援助中心から貿易・投資中心へ

この5大地域は、トランプ2.0が考える優先順位のとおりに並んでいる。
最初に西半球が来ることには意外感があるが、「アメリカ・ファースト」原則から考えればそれでいいのであろう。トランプ大統領はホワイトハウスにいないときは、「マールアラーゴ」の本宅に居る。つまり南北アメリカの結節点たるフロリダ州に視点がある。今から思えばトランプ大統領が、「カナダは51番目の州になれ」「グリーンランドが欲しい」「パナマ運河を返せ」などと言っていたのは、まったく冗談ではなかったのである。

2番目に来るのはアジアである。中国に対しては意外に厳しい文言が入っているし、「第一列島線(九州から南西諸島、台湾、フィリピンに至るライン)を守る」とも書かれている。わが国の安全保障コミュニティーからは、「思ったよりマシでホッとした」「アジア通のエルブリッジ・コルビー国防次官が頑張ってくれた」など肯定的評価が聞こえてくる。

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