iPhoneの《スマホ新法》対応が「世論の勝ち」と言えるワケ 「欧州の二の舞」を避けられたのか徹底解説
スマホ新法の運用や解釈が変化する可能性もある。つまり、今後も公正取引委員会とアップル、グーグルの間の対話は継続することになるが、セキュリティやプライバシーに関して、いつも意見が一致するわけではない。
とはいえ、取材から感じられる規制当局との関係性は良好で、当面の間の問題はなさそうだ。
世論の勝利でも注視は必要
今回のアップルの対応を見ると、スマホ新法の成立後、多くのユーザーや専門家から寄せられた懸念の声が、一定の成果を上げたと言える。
「欧州と同じ轍を踏むのではないか」「新機能が日本だけ遅れるのではないか」──こうした世論の高まりは、公正取引委員会とアップルの協議にも影響を与えたはずだ。
結果として、子どもの保護やプライバシー・セキュリティへの配慮が法律に組み込まれ、アップルが「EUより優れている」と評価する規制の枠組みが形作られた。
しかし、これで安心というわけにはいかない。
日本の法律は大枠を定め、詳細は運用に委ねるスタイルを取っている。政権交代や規制当局の方針転換があれば、解釈や運用が変わる可能性は常にある。アップル自身も「公正取引委員会との対話は継続していく必要がある」「必ずしもいつも意見が一致するわけではない」と認めている。
また、代替マーケットプレイスや代替決済の普及によって、どのような問題が生じるかは、実際に運用が始まってみないとわからない。詐欺やマルウェアの被害が拡大すれば、規制のあり方を見直す議論が必要になる。
スマホ新法は、日本のデジタル市場における競争促進の第一歩にすぎない。アップルという巨大プラットフォーマーに対し、どこまで規制の実効性を確保できるか。ユーザーの利便性と安全性のバランスをどう取るか。私たちユーザーも、引き続きこの動向を注視していく必要がある。
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