iPhoneの《スマホ新法》対応が「世論の勝ち」と言えるワケ 「欧州の二の舞」を避けられたのか徹底解説

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App Storeに関しては似たり寄ったり、といった印象だが、DMAに比べスマホ新法が明らかに優れている点もある。

それは、プライバシー、セキュリティ、そして子どもの安全への配慮が法律に明示的に組み込まれている点だ。

日本MSCAとEU DMAの比較

特に「Interoperability by Design(設計段階からの相互運用性)」の不採用は大きい。EUではこの要件により、アップルは新機能をユーザーにリリースする前に、競合他社のプラットフォームでも動作するよう対応しなければならない。

その結果、欧州ではライブ翻訳機能のリリースが遅れ、iPhoneミラーリング機能に至っては技術的課題とセキュリティ上の懸念から、現在も提供自体を見送っている状況だ。

日本のMSCAはこうした要件を課していない。アップルは相互運用性のリクエストに対し、技術的課題やプライバシー・セキュリティのリスクを個別に評価したうえで対応を判断できる。

子どもの保護についても、日本の規制は手厚い。App Storeの子ども向けカテゴリのアプリや、13歳未満が使用するアプリでは、外部ウェブサイトで決済を完了させるリンクを含めることができない。18歳未満のユーザーに対しては、どのような決済手段を選んでも、親や保護者が購入を確認・承認する「ペアレンタルゲート」の実装が必須となる。

新機能の遅れはない見込み…恒久的な約束ではない

日本のユーザーが最も懸念していたのは、欧州のように新機能のリリースが遅れる事態だった。この点について、少なくとも現時点において、スマホ新法が理由となって機能の提供が遅延したり、不可能になったりするということはないと考えていい。

ただし、これは無条件の約束というわけでもない。しかし、法律の中にセキュリティとプライバシーに関する考慮がしっかりと組み込まれているため、大幅にリスクは軽減している。

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