睡眠の改善、自律神経の安定化、認知機能の向上…科学が証明した鯨肉成分「バレニン」の摂り方――おいしく食べる調理法、購入先も

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バレニンは体だけでなく、心にもよい影響を与えるという報告もある。

塩田さんらが行った認知症のモデルマウスを使った研究では、学習や記憶能力の改善が確認された。さらに高齢者を対象とした臨床研究では、バレニンの摂取によって、以下の効果が見られたという。

・認知機能の向上
・作業効率・集中力の向上
・ストレス・抑うつ感の軽減

「なかでも注目したいのが、ストレスや抑うつ感の改善です。バレニンは脳や神経系にも作用し、心の健康にも寄与する可能性があるのです。記憶能力だけではなく、高齢者のうつや、フレイル対策にもつながるかもしれません」(塩田さん)

鯨油で育毛や生活習慣病対策も?

クジラの健康パワーは赤身肉だけにとどまらない。皮下脂肪からとれる鯨油にも、注目すべき成分が含まれているようだ。

鯨油にはDPA(ドコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3脂肪酸が豊富で、これらは生活習慣病の予防、血流の改善、炎症抑制、記憶力の維持などに役立つことがよく知られている。

実際、塩田さんらが行った肥満マウスを用いた実験では、鯨油を10週間摂取した群で、血中コレステロール値や肝臓における中性脂肪・コレステロールが減少。人を対象とした研究でも、3カ月の鯨油摂取後に血液中の中性脂肪の低下傾向が確認されており、今後のメタボリックシンドローム対策の一助となる可能性が示唆された。

そして、さらに興味深い意外な成果も得られた――育毛効果だ。

培養したヒト毛乳頭細胞で増殖効果が見られ、剃毛マウスを使った研究でも、鯨油を塗布した個体では、毛包(毛髪が成長する場所)がより太く密集し、発毛促進効果が確認された。

「市販されている一般的な育毛成分と比較してみても、それと同等の高い育毛効果が見られました」と塩田さんは言う。

「現在、薄毛の男性を対象とした初期の臨床試験も始まっています。鯨油塗布による育毛効果について解析を進めており、まだ試験は途中段階ですが、現時点では良好な効果が得られています」(塩田さん)

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