プレイングマネジャーが管理職として成功する条件 外資系マネジャーが説く「リーダーシップの本質」とは

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しかしそれでも、チームとしてのベクトルがそろっていなければ、チームはなんの機能性も持たないものになってしまう。だからベクトルをそろえるべきなのだが、そろえるべきベクトルは「視線のベクトル」と「行動のベクトル」の2種があるようだ。

「視線のベクトル」をそろえるとは、全員が同じものを目指しながら、それぞれの仕事をしている状態をつくることです。サッカーでたとえると、選手全員が相手ゴールの位置を正しく理解し、そこを目指してそれぞれがプレーをしている状態です。(28ページより)
「行動のベクトル」をそろえるとは、チームがゴールへ向かって進むための、行動の原則が共有されている状態です。たとえば、スピードが勝負を決める仕事をしているチームでは、「時間をかけた完璧なアウトプットよりも、迅速な7割のアウトプットを優先する」といった行動の原則が必要でしょう。(29ページより)

多様性を尊重することは大切だが、規律がなければ混乱してしまう。チームの行動原則という規律のもとで、各人が個性を発揮してこそ、チームとして成果を出すことができるということである。

この点を踏まえたうえで、「ベクトルをそろえるリーダーシップ」についての記述を確認してみよう。

主語を「私」から「私たち」に変える

管理職になりたてのころは、「自分の存在感を打ち出し、早く部下に認めてもらおう」というように自分中心で考えてしまいがち。しかしリーダーシップとは、ゴールに向かってともに動こうとする仲間がいてこそ発揮できるものだ。

したがって、管理職自身もベクトルをそろえるべきチームの一員で、メンバーの協力を得ながらチーム運営を行おうとしていることを示すべき。そのためには、会話の主語を「私」から「私たち」に変えるべきだという。「私」という言葉が、無意識下で「私」と「あなた」という距離を部下との間につくってしまうからだ。

「私たちが会社から期待されているのは、力を合わせて新商品を世に出すことです」。このように、自分を含めて「私たち」で伝えることで、上司と部下との境界意識が仲間意識に変わり、「そうですね、一緒に頑張りましょう」という共感を引き出しやすくなります。(32ページより)

たしかにそのとおりではないだろうか。とかく部下は上司に不満を抱きがちで、その原因のひとつが「視点」だろう。いわゆる“上から目線”的なニュアンスを感じさせてしまうと、それが抵抗感につながっていくわけである。

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