初の中台会談にシンガポールが選ばれたワケ

「細心の注意」で勝ち得た、中台双方の信頼感

中台会談の場所として選ばれたシンガポール。その背景は?(写真:ロイター/アフロ)

世界の注目を集めた中台トップ会談。その舞台がシンガポールであったことは、かなり興味をそそられるポイントである。なぜ、中国でも台湾でも香港でもなく、そして日本でもなく、シンガポールだったのだろうか。

東南アジア諸国でつくるASEAN(東南アジア諸国連合)は、大国を含め、他国が話し合う「場」を提供することで、逆に大国の草狩り場になることを回避し、国際的な地位を高める方針をとってきた。

今回の会談場所に選ばれたことは、こうした「場貸し外交」を得意とするASEANのなかでも、とりわけ「誠実な仲介者」として振る舞いながら、国益を最大化する「賢明さ」と「ずるさ」を兼ね備えたシンガポールの伝統的戦略が導いた成功だと言える。

どの外国も手を出しにくい中台問題

中台関係は、双方の主権問題や歴史的経緯、国際関係も絡んでくるので、どうしても複雑化しやすい。中台それぞれのメンツの問題もあって、特に「第一回」をどこにするか場所の選定はかなり難しかった。かつて台湾を領有して歴史問題が絡む日本は論外として、どの外国も手を出しにくい問題である。

そのなかでシンガポールは、中台が初めて接触を行った1993年の窓口機関トップ会談の開催場所にもなった。それから22年経った現在、今度は中台の指導者が会談を行う場所に選ばれたのも、同じシンガポールだった。

シンガポールは国土や人口が非常に小さい都市国家であり、常に国際情勢の変化に即応して生き残りを図らざるを得ないことを運命付けられた国だ。同時に、中国系移民への感情的反発が底流に流れるマレー系の民族が多数を占める「マレーの海に浮かんだ華人の島」でもある。当然、中国問題への対応は、常に細心の注意を払いながら進めざるを得ない。

そして、その「細心さ」が中台双方の信頼感につながるという側面もある。

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