今なぜ台湾で「懐日映画」が大ヒットするのか

戦後70年、無視されてきた「人間の歴史」

映画「湾生回家」発表セレモニーの様子(写真:湾生回家の公式Facebook

台湾で今年最も話題を集めた映画の一つが、終戦後に台湾から日本に引き揚げた人々を追ったドキュメンタリー映画「湾生回家」である。

「湾生(わんせい)」とは、戦前、台湾で生まれ育った日本人のことを指す。映画の日本語タイトルは「故郷-湾生帰郷物語」。ドキュメンタリーとしては、興行収入1億円を超える台湾で異例のヒットとなり、来年には日本でも公開される予定だ。

この映画は、「回家」という言葉が示すように、湾生たちは日本に帰った後も、忘れようとしても忘れられなかった「台湾=故郷」に、戦後70年を経て、深い感慨とともに戻っていく物語を描く。映画のなかでは、高齢に達した湾生たちが、それぞれの「故郷」で懐かしい人々や景色と再び出会い、台湾への愛惜や戦後の人生を語り尽くすところが見どころだ。

「懐日ブーム」を担うのは20代、30代

なぜ、湾生たちを取り上げた映画が台湾でヒットしたのか。それは、近年台湾で広がる「懐日(日本を懐かしむ)」ブームと深く関係している。

台湾には、 1895年から 1945年にかけての日本統治時代の多くの建築物や産業遺跡が残っているが、これらの保存・再活用を通して、「日式」を台湾に残そうという取り組みが各地で活発化しているのだ。

昨年は日本でも公開された、戦前の日本統治下の台湾から高校野球・嘉義農林チームが日本本土の甲子園に出場し、準優勝する活躍を描いた映画「 KANO」も大ヒットした。台湾には、戦前に日本語教育を受けた人々もいるが、いまの「懐日」ブームを担うのは20代、30代の若者だという点が特に興味深いポイントだ。

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