中台は、なぜ「史上初の首脳会談」を行うのか 11月7日に開催、馬英九最後のあがきか

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台湾の馬英九総統と中国の習近平国家主席(写真: REUTERS/Pichi Chuang /Muneyoshi Someya /Files)

中国と台湾、初の首脳会談が行われることになった。台湾の馬英九総統(中国国民党)は11月4日未明、7日に中国の習近平主席とシンガポールで会談することを発表した。中台間の首脳会談は、1949年に国民党(中華民国)が中国大陸から台湾に逃れてから初めてのこととなる。

この時期に突然の首脳会談が発表されたことは、中台双方、特に馬総統にとって非常に微妙な出来事となりそうだ。2期8年の任期をまもなく終える馬総統にとっては、中華人民共和国トップと初めて会う総統として歴史に名を残したいという意識が、まずは強いのだろう。彼は2006年、台北市長時代に行った『週刊東洋経済』とのインタビューでも、「中国共産党とは太いパイプがある」とし、大陸との関係をアピールしていた。

一方、来年2016年1月に予定されている台湾総統選挙への援護としても、この首脳会談を利用したい思惑も当然あるだろう。現在、最大野党・民主進歩党(民進党)の蔡英文主席の優勢が伝えられている。

自身の名誉と総統選目当てだが効果薄い

与党国民党は馬英九政権8年間の成果などから苦戦を強いられており、10月には国民党主席で台湾北部・新北市の朱立倫市長を候補者に据えたばかり。しかも、すでに今年7月、党内の正当な手続きを経て候補者として選出した洪秀柱・立法院(国会)副院長を交代させるなど混乱も重なるなど、国民党不利の状況は変わらない。

これまでにも、馬総統が中国側に首脳会談を何回も提案してきたという噂は流れていた。それは「中台関係の安定を図るためにはトップ同士で話し合うのが最適であることを演出するため」とみずほ総合研究所中国調査室の伊藤信悟室長は指摘する。事実、馬総統は中国とのFTA(自由貿易協定)となる「両岸経済枠組み協定」(ECFA)を2010年に締結、経済面で大陸依存を強める台湾経済界とも協力しながら、大陸との関係改善を進めてきた経緯がある。

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