「疲れが抜けない」「気分が落ちこむ」「肌や髪の調子が悪い」…更年期の不調の背景にある「見えない栄養欠乏」の正体
鉄
年齢を問わずすべての女性にとって大切な栄養素であり、とくに更年期の不調とも深く関わっています。
鉄は赤血球の中にある「ヘモグロビン」と結びついて、肺で取り込んだ酸素を全身に運んでいます。つまり、鉄が足りなくなると、体の中が酸欠のような状態になってしまうのです。酸素が行きわたらなければ、エネルギーもうまくつくれません。
その結果、だるさや頭痛、めまい、動悸、冷え、息切れなど、さまざまな不調が起こりやすくなります。体のエネルギーの元となる「ATP(アデノシン三リン酸)」をつくるときにも鉄が必要です。鉄がしっかり足りていれば、ATPの産生がスムーズに行われ、疲れにくい体を保つことができます。
女性は、思春期に月経が始まってから、妊娠・出産・授乳などを通じて、長いあいだ鉄を失い続けています。
とくに月経の出血が多い人や、過度なダイエットをしている人、子宮筋腫による過多月経がある人は、鉄の消耗がさらに大きくなります。でも、多くの方が「自分は鉄不足かもしれない」ということに気づいていません。鉄が足りていない状態に慣れてしまって、不調があっても、それが鉄不足によるものだとは思わないまま過ごしている方が少なくないのです。
更年期になると、閉経によって出血はなくなりますが、それまでに鉄をしっかり蓄えてこなかった場合、その影響がさまざまな形で現れやすくなります。私のクリニックでは、更年期を迎える前の段階から鉄の補充を始め、年齢に応じたケアを行っています。鉄は、筋肉の維持やコラーゲンの合成にも関わっていますので、年齢とともに落ちやすくなる筋力や肌のハリを保つためにも、欠かせない栄養素です。
女性ホルモンのバランスを整えるのに役立つ栄養素
亜鉛
亜鉛は、体の中でさまざまな役割を果たしているミネラルです。女性ホルモンのバランスを整えるのに役立つほか、タンパク質の合成や細胞の分裂、抗酸化作用、生殖機能、免疫機能のサポートなど、幅広い役割を担っています。
擦り傷などが1~2週間で自然に治るのは、傷ついた細胞が新しい細胞に置き換わるしくみが働いているからで、この「修復と再生」の過程を支えているのが、亜鉛です。外からの刺激を受けやすい口腔内では、とくに亜鉛が多く使われています。


















