その時間はただ話を聴いたり、雑談をするだけ。「元気になって自分で生きる道を探してくれれば」という思いだけで続けた傾聴の時間は、次第に娘さんに変化をもたらしました。自己肯定感が回復していったのです。
そして、娘さんは国立大学の医学部に見事に合格。今、自宅から離れた街で一人暮らしをしています。「あんなに遅刻魔だったのに、がんばって通っているみたいです」と早紀さんは笑顔で語ってくれました。
このように平坦ではなかった娘さんの中高時代。あらためて振り返り、早紀さんは何を思うのでしょうか。
「ひとつは夫のことですね」
今、お子さんたちは2人ともご主人とは距離を取り、同じ家にいてもあまり会話することがないのだとか。
勉強できることが正義の夫、自分のことが嫌いな私
「夫は“勉強ができることが正義”という考え方を持っています。もちろん、社会人として大切なこともたくさん言ってくれるんですが、子どもたちも成長するにつれて、勉強だけが正義ではないことに気づいていったんです。夫は教育熱心でしたが、その思いがまっすぐ子どもたちに届かなかったのかもしれません」
聞けば、中学受験もご主人のほうが熱心だったそうです。
そして、自分自身のことにも反省を滲ませます。
「私は娘に自分の悩みを話しすぎました。2世帯住宅で夫の母との同居にストレスがありましたし、下の子のことにも悩みを抱えていました。娘はいろいろわかってくれるから、つい気を許して愚痴を言っていたんですが、それはしてはいけないことだったんですね」



















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