「スパルタ進学校で不登校に」一度は大学受験も諦めた娘を、国立医学部に導いた母の"気づき"

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「娘にとっていい経験になったようです。帰宅後、お店での出来事を楽しそうに話してくれました」

自分の力でお金を稼ぐことができた喜び、遅刻しないように必死に準備したこと、好きな英語で外国のお客様と会話できたうれしさ、さまざまなタイプのお客様がいることへの戸惑い。ひとつひとつがこれまでの生活では経験したことのない新鮮さに満ち溢れていたそうです。

その一方、娘さんにはこんな思いも芽生えました。

「一生懸命働いてもこれくらいしか稼げないのか」

そんな現実を目の当たりにして、「やっぱり大学に行く。できれば国家資格を取りたい」と自ら言うようになったとか。

「本当に驚きました。こんなふうに考えが変わっていくんですね」

子どもは自然に学んでいく

親が何も言わなくとも、子どもは自分の経験から自然に学んでいくもの。早紀さんは最初、「受験もあるのにアルバイトなんて」と心配していたことを振り返り、「私が間違っていました。子どもは信じてあげることが大事なんですね」と話します。

娘さんは「とにかく国家資格は取るからね。それは約束するよ」と。しかもそれは医師に限らず、「薬剤師や美容師もいいな」と複数の職業を視野に入れるようになっていました。

そこからさらにもう1年の予備校生活。早紀さんはどのように娘さんを支えたのでしょうか。

「『勉強したほうがいいよ』とは言いませんでした。とにかく焦らないように、授業を休んでも、『元気になったら行けるよ』と励ますだけでした」

もうひとつ、早紀さんは心がけたことがあります。傾聴です。

「娘から、『毎日私の話を聴く時間をつくってほしい』と言われたんです。『一日15分でいいから私のために時間を空けて』って」

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