「トラブルには一応対応してくれますが、不登校になってからは電話で『今、授業ではここまで進んでいるから家で勉強しておいてね』と課題について言われるだけでした」
学校の教育方針とはいえ、度を超すプレッシャーに「これ以上学校に行ったら娘が壊れてしまう」とすら思ったそうです。
アルバイトで得た気づき。自分で決めた目標
そんな学校生活を送った娘さんは、早紀さんの言葉を借りると「6年間、成績は常に底辺。すっかり自己肯定感をなくした子」になったといいます。
高校卒業後は予備校に通い始めたものの、次第に授業に出られなくなり、真っ暗な部屋で布団にくるまって過ごす日々が始まりました。当時、娘さんの口から出てきたのは、「もう大学には行かない。受験もしない」「大学に行く理由がない、やりたいことも何もない」、そんな言葉ばかり。夏には予備校も辞めてしまいました。
実は娘さんは、小さい頃から医学部進学を目標にしていました。
「夫が娘を医師にしたがったんです。自分が医学部に行きたかったけれど叶わなかったからです。娘は父親の期待を背負ったんですね。あるとき『これは私の意思ではない』とはっきり口にしました」
目標が自分の意思ではなかったことに気づき、精神的に混乱する娘さんを見て、早紀さんは精神科の受診を促しました。そしてそれがひとつの転機となります。
医師が「アルバイトでもしてみたら?」と提案したのです。娘さんはしばらく悩みましたが、秋から冬までの3カ月間だけやってみることにしました。ファストフード店の求人を自分で見つけ、面接を受け、店頭で接客することになったのです。



















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