──はい、わたくしと同じくこどおじです。ただし誤解してはいけません。こどおじとは子供部屋に住むおじさんを意味し、“無職”とは定義されていません。つまり働くこどおじも、世間にはたくさんいるのです。
──失礼しました。では万次郎さんも三四郎君も、さすがに定職には就いているんですね。
──いいえ、我々は正真正銘の完全なる無職のこどおじです。これだけは断言できます。
──あ、はい……、なんかすみません。しかし三四郎君は魔改造ドローンを造る異才の持ち主なのに、なぜ無職のこどおじなのでしょう?
──それは逆です。異才の持ち主だから、無職のこどおじなのです。なにせ三四郎君が興味を示すのは“解体と再構築”だけで、例えば彼は、指定された時間に指定された場所へ行く、という行為すら困難です。これでは就活もうまくいきません。
筋肉はペンより強し
──そうでしたか……。でも俺は彼のドローンによって救われました。三四郎君にもよろしくお伝えください。
──かしこまりました。しかし改めてレポートを読み返してみると、L39番さんは、謎の行動力がありますね。亡くなったお婆さんのために、詐欺グループ相手に張り込みや尾行までする三十歳の孫というのは、そうそういないんじゃないでしょうか。貴重なレポートに、首領もたいへん満足しております。
──いえいえ、俺なんて才もなく、社会ではなんの役にも立たないただの無職です。その首領なるかたは、さぞかし優れた人物なのでしょう。
──別にもったいぶるわけじゃないんで先に言っちゃうと、首領は自称ボディビルダーのこどおじです。
──は?
──筋肉はペンより強し、なのであります。



















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