
詐欺集団のアジト「サンライズタワー」に潜入
サンライズタワーのエントランス付近で張り込みを開始して、すでに三時間が過ぎていた。日は暮れ始め、あたりは夕闇に包まれつつある。
ポケットの中のカイロを揉みながら思う。やはりそうそう、うまくはいかないものだろうか──。諦めかけたそのとき、エレベーターから一人の男が降りてきた。
坊主頭で人相の悪い体格のいい男──、詐欺集団の首謀者だ。また受け子と接触するのだろうか。健人は一定の距離を保ちつつ、男を尾行した。
男は近くのコンビニへと入った。健人は店外から、ガラスの向こうに見える男の姿を目で追う。男は雑誌コーナーに立ち寄り、ドリンクコーナーに立ち寄り、レジで煙草とコーヒーを買った。コンビニを出ると、レジ袋を片手に、再びマンションへ戻っていく。キセルをする絶好のチャンスだった。
健人は男と数メートルの距離にまで近づく。坊主頭が外灯の明かりに照り輝いている。俺はかつて二十回はキセルをやっただろうが、バレたことは一度もない。同じことをやるんだ。




















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