老後の蓄えを狙う「オレオレ詐欺」45歳首謀者がタワマンの隠れ家で"何者か"に襲われ卒倒、逮捕 『子供部屋同盟』2章③

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──通信部のジョン・万次郎です。加筆修正ありがとうございます。L39番さんの動機は、我々、子供部屋同盟に認められました。

──善良なる小市民たるお婆さんを騙して金を踏んだくるとは、まったくとんでもない連中です。こんな嘘つき集団を野放しにしておく道理はありません。

──即刻ぶっ潰すべきです! 絶対にぶっ潰すべきです! 速やかにぶっ潰すべきです! こいつらを潰せるのかと思うと、わたくしも俄然興奮してきました。年甲斐もなくわくわくしてきました。あぁ、早く潰したい、ぶっ潰して気持ちよくなりたい……。

──失礼、少々、取り乱しました。で、詐欺集団の件ですが、諜報部がL39番さんのお婆さんの居住地区、川口栄町に詐欺電話をかけていたグループを洗ったところ、通称「大和会」という半グレ組織が挙がってきました。

──特殊詐欺集団は“ルーム”と呼ばれる一室で、首謀者の指示のもとにかけ子が電話をかけまくっています。諜報部では大和会のルームが東京都北区豊島周辺というところまでは辿れましたが、正確な住所までは割り出せませんでした。しかし北区豊島といえば、そう、L39番さんが突き止めた、サンライズタワーがある区域ですね。

「レベルAの成敗」十二月五日、午後二時より執行

──で、レポートに記されていた坊主の男に、諜報部員がこっそりイケナイ端末を取り付けたところ、ビンゴです。二十八階の2803号室がルームです。

──ご存じの通り、サンライズタワーのエントランスはオートロック式で、警備員さんが常駐しています。八の字眉毛の警備員さんに、これ以上、手を煩わせてはいけませんね。そこで今回の執行は、工作部の三四郎君が適任かと思います。

──ご希望のレベルAの成敗は、十二月五日、午後二時より執行となります。その様子はライヴ配信するので、ぜひとも子供テレビにてご視聴ください。

──では、執行日をお楽しみに。

高橋 弘希 小説家

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たかはし ひろき / Hiroki Takahashi

小説家。青森県十和田市生まれ。2014年、『指の骨』で第46回新潮新人賞を受賞。2017年、『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』で第39回野間文芸新人賞を受賞。2018年、『送り火』で第159回芥川賞を受賞。他の作品に『朝顔の日』『スイミングスクール』『高橋弘希の徒然日記』『音楽が鳴りやんだら』などがある。

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