太一は鼻白みつつ、彼らのおべっかを聞いていた。彼らとて“壊し屋”の異名を知らないわけじゃあるまい。新座時代にも営業成績向上の裏で、何人かの社員が潰されているに違いなかった。
一方で西野はおべっかに機嫌を良くしたのか、随分と酒が進んでいた。飲み会も酣(たけなわ)になったころに、西野は浅黒い顔を赤くして太一の横に座った。
酔った西野に捕まり…
「おい、佐藤、飲み会は楽しんどるか?」
「はい、おかげさまで」
「おまえ、所沢で一人暮らししてるんだっけか? どうせぼろいアパートに住んでるんやろ。おまえ俺のマンションの家賃いくらか知ってるか?」
「いえ、知りません」
「十八万だ。家賃は月収の三分の一までってな。つまり俺の年収は、ボーナスやら諸手当やらを入れりゃ、一千万を超えるってわけだ」
「はぁ……」
西野はビールを呷(あお)り、酒臭い息を吐きつつ言う。
「おまえ、女いんのか?」
「は?」
「女だよ、女」
「今はいませんが……」
「能登ちゃん、可愛いよな。スタイルいいしな。パンツスーツの尻の曲線が魅力的や。やりてぇなぁ」
太一は露骨に顔をしかめたが、西野はそれに気づかずに続ける。
「まぁ、金があれば女は抱けるからな。おまえ出会い系やったことあるか? 風俗よりいいぞ。数万で素人の若い女を抱けるからな」
と、また媚を売りにきたらしい若手社員がやってきて、西野のグラスにビールをつぐ。西野はそのビールを一気に飲み干す。



















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