「ロリコン教師」がSNSで集団化 教員7人逮捕に見る"ネットワーク型性犯罪"の深層

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対策として必要なのは、個人責任の追及と同時に、制度面・教育現場の仕組み面での再発防止策である。具体例は以下の通りである。

教員採用段階での性犯罪歴チェックの義務化
校内ICT機器・個人スマホの管理ルールの厳格化(職員室からスマホを持ち出さないなど)
形式的な教職員倫理研修ではなく継続型・参加型の研修の再設計
児童の更衣室・トイレ等の「盗撮リスク点検」の制度化
児童の相談窓口を教員以外にも開く安全網の構築
匿名通報制度の整備(内部告発が処罰されない仕組み)

性犯罪は刑罰だけでは再発を防げない

また、加害教員側に対しては、刑事処分・懲戒処分に加え、性的逸脱傾向・再犯リスクを測定する心理アセスメントや治療的介入が必要である。性犯罪は刑罰だけでは再発率が下がらないことが国内外の研究で示されている。

たとえば、自らの小児性愛傾向を自覚し、その性的衝動を抑えることに不安を感じている者がいれば、犯罪として行動化する前に、相談できる専門家や医療機関の整備をすることが重要であろう。

性の問題はタブー視されやすく、とくにわが国ではその傾向が大きい。しかし、毎日のように子どもを対象とした盗撮や痴漢被害などが報道されるいま、卑劣な性暴力・性加害から子どもを守るという意識を社会全体が共有する必要がある。

原田 隆之 筑波大学教授

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はらだ たかゆき / Takayuki Harada

1964年生まれ。一橋大学大学院博士後期課程中退、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校大学院修士課程修了。法務省法務専門官、国連Associate Expert等を歴任。筑波大学教授。保健学博士(東京大学)。東京大学大学院医学系研究科客員研究員。主たる研究領域は、犯罪心理学、認知行動療法とエビデンスに基づいた心理臨床である。テーマとしては、犯罪・非行、依存症、性犯罪等に対する実証的研究を行っている

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