「離婚したから飼えない」と飼育放棄も…アパレルやマルシェなどで広がる"保護犬・保護猫譲渡会のカジュアル化"がもたらす"光と陰"

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里親希望者に対し、保護犬・保護猫の飼育に必要な知識や心構えを学ぶ研修の義務化や、厳格な審査基準を設けることで、安易な気持ちで迎えることを防ぎます。また、希望する保護犬・保護猫の特性や必要とする飼育環境など明確な情報を提示することで、ミスマッチを減らします。

加えて、譲渡だけでは解決できない猫の課題に関しては、地域猫の見守りやTNR(猫を捕獲して不妊手術や去勢手術を施し、ワクチンを接種させてから、元の生息地に戻すこと)、自治体助成の活用など、「飼えなくてもできる支援」を広げることが重要です。

■連携強化と情報共有の促進

獣医師や専門家、自治体と連携して譲渡会の適正な運営方法を設計するとともに、譲渡後の飼育に関する質の高いサポートを提供します。そして、不適切な運営を行う譲渡会や、虚偽の申告を行う里親希望者に関する情報を共有し、対策を強化します。

動物を大切にする文化を育む

■法整備と動物福祉の向上

動物福祉を向上させるための法的枠組みを強化し、社会全体で動物を大切にする文化を育む必要があります。

2019年に改正された動物愛護管理法の内容(販売される犬猫へのマイクロチップ装着・登録の義務化、8週齢規制=生後56日未満の生体販売・販売目的の展示禁止、展示時間の休止規定、飼育頭数上限などの飼養管理基準の整備)を、より多くの人に周知し、遵守を徹底することで、ブリーダーやペットショップ、動物愛護団体などのあり方も含め、動物の命の軽視を防ぎます。

また、殺処分の現状や、保護犬・保護猫が抱える課題を広く社会に伝え、安易な飼育放棄の防止や虐待の監視・撲滅を推進します。

保護犬・保護猫の譲渡会のカジュアル化により、迎え入れる側の責任や理解を深める努力もこれまで以上に大切になっています。これらの解決策を通じて、保護犬・保護猫が確実に新しい家族と出会い、健やかな生活を送れる社会を目指していくことが大切です。

阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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