「離婚したから飼えない」と飼育放棄も…アパレルやマルシェなどで広がる"保護犬・保護猫譲渡会のカジュアル化"がもたらす"光と陰"
この例だけでなく、最近は大規模なイベントや商業施設、都心のマルシェなどでも譲渡会が行われていて、これまで譲渡会を知らなかったり、参加をためらっていたりした人たちも、気軽に足を運べるようになりました。
また、こうした対面イベントに加えて、事前審査や面談をオンラインで行う“ハイブリッド型”や、常設拠点・保護猫カフェのような場所も登場し、移動や時間の制約に縛られなくなっています。
人気モデルがプロデュースをする「おしゃれな保護犬・保護猫譲渡会」などもあり、保護犬・保護猫を飼うことは「優しい、知的な選択」と、ブランディングとしての新たな価値観も生まれています。
「いまはお迎えしない」という関わり方も定着しつつあり、未開封フードや消耗品を寄付するなど、フォスターペアレント(継続寄付で特定の保護動物や活動を支える制度)として参加するという形で、保護現場を支えている人たちも増えています。
保護活動への貢献意識の向上
保護犬・保護猫を迎え入れることは、単なるペットとして飼うだけでなく、命に対する深い責任感や、動物福祉への貢献意識につながるとされています。
実際、これまでNPOやボランティアが担ってきた保護活動にSDGsやCSRを意識する営利企業が参入するケースも出てきました。
大手ホームセンターのカインズは、「くみまち構想」という地域課題解決の取り組みの一環として、保護犬・保護猫の譲渡に力を入れています。店舗がハブとなり、住民や企業、自治体、民間団体と協力しながら、新しい飼い主さんとの出会いを創出し、地域社会の活性化を目指しています。
大手家電メーカーのパナソニックも、2022年から保護犬・保護猫譲渡会を開催しており、多くの保護犬・保護猫が参加できる「日本最大級の譲渡会」として、これまでにのべ2万4000人以上が来場しています。
そのほか、建築家が保護犬・保護猫との共生空間を設計する試みが行われていたり、著名人が私財を投じて保護施設を運営したり、保護動物の支援をビジネスとして成り立たせるための持続可能な保護活動の形が模索されています。


















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