「離婚したから飼えない」と飼育放棄も…アパレルやマルシェなどで広がる"保護犬・保護猫譲渡会のカジュアル化"がもたらす"光と陰"

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ワクチン接種や健康診断の費用として高額な譲渡費用を要求したり、特定のペット保険への加入やフードの定期購入を求めるなど、社会貢献を目的とした保護活動とは異なる実態があることも指摘されています。

動物福祉に対する知識や意識が未熟なために、意図せずネグレクト状態にしてしまうケースや、劣悪な飼育環境での多頭飼育が明らかになるケースもあります。年間数千万円もの寄付を集めながら、代表者が高級車を乗り回すなど、活動報告が曖昧な団体も報告されています。

そのような団体から保護犬・保護猫を迎えることは、知らず知らずのうちに悪事に加担していることになります。健全な団体をいかに見分けるかが重要です。

■保護犬・保護猫への負担増大

カジュアルな譲渡会では、多くの人が保護犬・保護猫と気軽に接触する機会が増えますが、慣れない環境も加わって動物がストレスを感じ、心身に影響を及ぼす可能性があります。特に、子犬・子猫など体調が安定していない時期の譲渡会への参加が懸念されています。

運営側には、負担を抑えるため、滞在時間や触れ合いを適切に制限し、休息スペースを確保する、子犬や子猫は“見せるだけ”にとどめるなどの設計が求められます。

■審査基準の形骸化(けいがいか)の懸念

保護犬・保護猫たちを二度と不幸な目に遭わせないために、譲渡には厳格な審査基準が設けられています。それは、新たな環境で安全に、そして健康に暮らせるようにするためです。

希望者の飼育環境や経済状況、家族構成、動物を飼育するうえでの知識や心構えなどが詳細に確認されますが、カジュアル化が進むと、この審査基準が形骸化し、適切な飼育環境や責任感のない人に譲渡されるリスクが高まるおそれがあります。

安全な譲渡に向けた解決策

カジュアル化した譲渡会が抱える課題を解決するためには、多角的なアプローチが必要です。動物たちと里親希望者の双方が安心して、幸せな関係を築けるように、以下のような対策が考えられます。

■飼い主の意識向上と責任の明確化、情報提供

動物を「命あるもの」として尊重し、終生飼育の責任を果たす意識を高めることが重要です。

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