カースト制度がどれだけ厳しいものであるかは、インドに行くとわかります。街の路肩にあるカフェでコーヒーやチャイを飲んだ後、人々は陶器のカップをガチャンと壊して捨ててしまいます。珍しくない光景です。
この習慣が生まれた理由は諸説あるのですが、上の身分の人は下の身分の人が使った食器を使いたくないからだという説があります。そういう習慣が、今でも根強く残っています。
自分自身で勝手につくり出している「新たなカースト制」
インドの苛烈なカースト制の日常を知ると、「日本にカースト制がなくてよかった」と思うかもしれません。
たしかに、江戸時代のような制度、つまり、武士、農民、職人と商人などの町人などに分けて、武士が農民と町人を支配する制度は現在の日本にはありません。
しかし、現在の日本はれっきとした身分差別の社会です。
今の日本では、どんな境遇に生まれたとしても、それを乗り越えることができる、というのはその通りだと思います。ただ、この社会には新たな基準が加わっているのも、まぎれもない事実です。
それはお金です。
お金を稼いだ者は、上に行くことができる。お金で身分を飛び越えられるようになったのです。
お金が身分と結びつくようになったために、「新たなカースト制」が私たちの中に生まれました。お金をどれだけもっているかで、私たちは人を見定めるようになりました。これは法に定められたものでも、伝統的な慣習にのっとったものでもありません。



















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