「台湾有事発言の真因は・・・」策士、策に溺れる?当代きっての"話術師"高市首相が抱える「話し方の重大リスク」

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政治家のコミュニケーション術に詳しいアメリカ・エモリー大学のドリュー・ウェスタン教授は、有権者が政治家を選ぶ2つの条件を挙げています。

①この候補者、政党は私と同じ価値観を「共有」しているのかどうか?
②私のような人を「理解」し、気にかけているのかどうか?

トランプ大統領は、支持者の価値観を理解し、共感し、体現しているかのように見せ、保守派の根強い支持を維持しています。

彼はビジネス界出身であることを強調し、堅苦しい官僚的な政治家ではないことをよくアピールするのですが、実は、政治の世界では、専門知識を持った「職業政治家」に対する反発が強まり、「親しみやすさ」を売り物にする「セレブ(有名人)政治家」が増えているそうです。

イギリスの学術誌に発表された論文は、「まるで私たちのような(Just like us)」親しみやすさを前面に打ち出し、芸能人のように目立つ戦略で人気を集める政治家が増える一方で、政治エリートや職業政治家は信頼と人気を失っている、と分析しています。

高市氏の「私たちのサナエさん」戦略

お高くとまった、近寄りがたい政治家よりも、少々「お騒がせ」でも「常識外れ」でも、庶民感覚を持っているように見せる素人ポピュリスト(市民の感情や不満に訴えかけ、「民衆の代弁者」として支持を得ようとする人)のほうが人気が出てしまう、という「アンチエスタブリッシュメント」「アンチエリート」現象は日本でも起き始めています。

その流れを受けて、昨今、多くの政治家が「親しみやすさ」を強調する動画をSNSに上げるようになってきました。

政治がエンタメ化し、有権者がまるで野球チームや推しを応援するように特定の政治家を応援する「ファンダム政治」の傾向が強まるなか、高市氏は、まるで「サザエさん」のような親しみやすさを前面に出した「私たちのサナエさん」戦略で「ファンの裾野」を広げているのです。

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